「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1177
師走の浅草(その1)

“新年のごあいさつ”を読んだ友人のN田クンより
こんなメールが舞い込んだ。

アケ:オメ
兄さん。
今年のスポーツビッグイベントを何か忘れてんじゃないの。
これを忘れちゃスポーツ・トーシローになっちゃうでしょ。
ラグビーワールドカップ(9/9〜10/23)だぜ。
開催地:ニュージーランド
日本代表は連続7回出場を果しているぞ。
おまけに次々回2019年の開催は日本だ。
どうだ、ざま見ろ。グワッハッハ。   N田

なるほどね、ラグビーのW杯かァ。
まあ、ビッグっつえば、ビッグなんだろうねェ。
実はこのN田は高校時代の同級生でラガーマン。
放課後の校庭では、わがサッカー部の脇で
よくボールを追い掛け回していたっけね、
鈍足にムチ打って――。
メタボ丸クンになった今もラグビーを続けており、
よく怪我をしないもんだと、周りをあきれさせている。
てなことで、今年はラグビーW杯がありやす。
どちらさんも、お見逃しなく。

ところで年末は例年にも増してよく飲んだ。
消え去りし「めしとも」のおかげで
大衆酒場や角打ちにのめり込んだ日々が過ぎても
身に染み付いた嗜癖(しへき)はそう簡単にぬぐえない。
この手の店はつまみを何品も取らずに済むから
ハシゴが利いてうれしい。
1軒に腰を据えて飲むのも悪くはないけれど、
“酒はハシゴで飲むべかりけり”――これですよ、何たって。

忘年会がひときしり終わった年の瀬は
東京で一番好きな町、浅草へ連日繰り出すことに。
28日は観音裏の個性的な鮨店「基寿司」へ。
かつては月に二、三度、訪れた行きつけの店である。
ここの必食科目は小肌と穴子。
加えて薄くそぎ切りにされた小ぶりの真鯛がまことによい。
一晩にホンの1〜2杯しか取れぬ、
はま吸いは絶品ながら常連だけの特権で
これを出されたら親方が“判る客”と認めたことになる。

当夜は久々にワイン会のメンバーが
10人ほど集結して旧交を温めた。
宴会なので刺身は大皿の盛込み。
平目・さより・赤身・中とろ・いか・青柳の陣容だ。
別皿には〆さば・蒸しあわび・玉子焼き。
おろし立てのわさびがタップリと添えられる。

しばらくして運ばれたのは活蛸のうす造りと穴子の白焼き。
どちらにも「う〜ん!」と、うなる。
蛸のうす造りは最近始めたもので
舌先のアクセントにちょうどよい。
にぎりの盛込みは小肌の隣りに見慣れぬサカナあり。
皮をはがれた肌身の肉質から、すぐにニシンと知れるが
このサカナを判別できる目利きはほかに誰もいない。
難問中の難問につき、さもありなん。
1カン、口にほうり込み、その持ち味を愛でる。
北海道の鮨屋ではよく供されるニシンは
東京でももっと愛好されてしかるべき鮨ダネではなかろうか。

しゃけと大根の潮汁をすすり、ほどなく散会。
一派はカラオケに流れ、われら数人は地下鉄で上野広小路へ。
歓楽街・湯島まで歩み、通りすがりのたこ焼き居酒屋に入店。
若い女性が2人で営んでおり、ともにカンジがいい。
酔い覚めの生ビール片手にボンヤリと考えた。
(明日も浅草だったかな? いや、違うぞ! 
酒に変わりがあるじゃなし、まっ、どこでもいいや)
のんきなものである。

           =つづく=


【本日の店舗紹介】
「基寿司」
 東京都台東区浅草4-37-8
 03-3874-1751


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2011年1月7日(金)

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