第1179回
年が明けても浅草(その1)
年の瀬は連日、浅草に出掛けて行った。
年が明けての元旦は自宅周辺を散歩した程度で
遠出はまったくしていない。
ブランチもディナーも自炊でしのいだ。
朝遅く、といっても昼までずいぶん間があったが
とにかく起き出して屠蘇代わりのビール。
つまみは大晦日に観音裏の鳥肉店「竹松」で調達し、
その夜のうちに仕込んでおいた、
鳥ハツと砂肝のウスターソース煮だ。
岩手産・菜彩鶏(この鶏は旨い)のモツを使ったもので
大晦日の夜は鳥の水炊き&すき焼きの二段活用を
あまり面白くもない紅白歌合戦を観ながら食べたのだった。
実際は裏番組の格闘技に
チャンネルを合わせた時間が長かったのだけれど・・・。
あとはやはり前日にほかの精肉店で買ったメンチカツ。
俳優の中尾彬が絶賛している逸品である。
不味くはないものの、挽き肉の風味と一緒に
化調味がこみ上げてきて感心しなかった。
元来、町の肉屋さんは好きだから
商売に差し障る批評はしたくないので店名は伏せおく。
夜は小鯛笹漬けと小鯵酢〆でビールを飲み、
安価な群馬産・和牛もも肉のミニッツステーキを
昨晩の残りのバローロでやった。
付合わせはフライドポテトとほうれん草バター。
パリの惣菜の定番、キャロット・ラペもサラダ代わりに。
そして仕上げは富山の鱒寿司。
元旦なのにおせち・雑煮とは無縁の一日だ。
翌2日は恒例の初詣。
目指すは向島の白鬚神社である。
その前に浅草で腹ごしらえをせにゃならぬ。
芋洗い状態の仲見世界隈を避け、
ひさご通りから横道に入った「大勝館」に入店。
閉館したまま、建物の取り壊しすら始まっていない、
六区の「大勝館」にあった食堂が移転して
24時間営業を引き継いでいるのはエラい。
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浅草ならではの雑然とした店内
photo by J.C.Okazawa
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山登りを前に襷を待つ柏原クン
photo by J.C.Okazawa
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ボケたわけではないけれど、注文品は嫌いなつけ麺。
どうして嫌いなもんを頼むんだ! ってか?
ごもっともながら、なぜかは存ぜぬが
ここのつけ麺はかの有名な池袋「大勝軒」の直送品なのだ。
おそらく同名のよしみで握手したのだろう。
六区時代に同じく直送の中華そばを食べて満足したことがある。
移転後は中華そばがなく、つけ麺オンリーになってしまい、
それでもものは試しと所望した次第。
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極太のちぢれ麺が山盛り
photo by J.C.Okazawa
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ああ、やっぱりな、何だって麺の量がこんなに多いんだ。
完食は無理でも行けるところまで行くしかない。
・・・結果はあえて記さず。
ただ、煮〆った玉子とナルトがしょっぱいのなんの。
1年ぶりで訪れた白鬚神社だったが
何がどこでどうしたものか、
例年はガラガラなのに今年は長蛇の列ができている。
スカイツリー効果がここまで及ぶとは考えにくく、
どこかのテレビ局が大々的にご利益でも喧伝したのだろうか。
七福神めぐりの一翼を担うのは今年に始まったわけじゃなし。
15分ほど列を成し、賽して拝んで参詣を済ませ、
はて、これから何処へ身を振ったものだろう。
=つづく=
【本日の店舗紹介】
「大勝館」
東京都台東区浅草2-17-3
03-3843-6084
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