「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1180回
年が明けても浅草(その2)

最初にお詫びと訂正を。
第1160回で紹介した大塚三業通りの「一松」ですが
店主の修業先を築地「松島」としたところ、
正しくは「松し満」の誤りでした。
今はなき威容を誇った和風建築を何度も見ていながら
何ともうかつなことでした。
ここにあらためて訂正し、
ことさら「一松」のオヤジさんにはお詫びします。
そのことを指摘してくれた読者のWナベさんには
心から感謝したします。

さて正月2日、向島の白鬚神社を詣でたあとは
足の向くまま、気の向くままの風まかせ。
でも結局は昼めしを食べたばかりの浅草に逆戻りだ。
正月の似合う街ということもたぶんにあるけれど、
われながらやはりこの街が心から好きなのだなァ。

 一に浅草 二に銀座
 三、四がなくて 五に神楽坂

これがJ.C.の愛する東京の街々である。
ところが最近は五番手に控えし神楽坂がアブナい。
というのは西荻窪にその地位を脅かされているからだ。
心の内を白状すれば、すでに西荻のほうに気移りしている。
さように神楽坂の魅力は薄れた。
訪問者のレベルが下がったと断じてしまうと語弊があるが
行きたい店はなく、歩きたい路もなくなった。
このところトンとご無沙汰である。
どこかしばらくつき合った末に別れるオンナみたい・・・。

戯言(ざれごと)よりも浅草、浅草。
墨堤通りを南下して歩行者専用橋の桜橋の脇を抜け、
「枕橋茶や」に一憩を試みるも元日につき休業。

そうそう、今話題のスカイツリーを眺めたり、
写真を撮ったりのベストスポットが
あたかも吾妻橋西詰のごとくに巷間伝わっているが
さまざまな建物と“併撮”するならいざしらず、
単独でとらえるには、ここ枕橋のたもとのほうがよい。
そしてさらによいのが桜橋の橋上である。
嘘だと思ったら行ってみてごらんなさい。

目当ての茶店が休みでも落胆しないのは
本当の狙いがこの先にあるからだ。
一昨日の大晦日にフラれた「23BANCHI CAFÉ」である。
浅草に来たら否が応でもここの生ビールを飲まなくっちゃ。
モノは当然のことにアサヒのスーパードライながら
温度違いの2種類があり、真冬でもエクストラコールドを選ぶ。
例によって泡少なめでお願いした。
注ぎ手は慣れたもので客のわがままに快く応じてくれる。
グラスを卓上にしばらく置いて少なめの泡が
なおも沈みかける頃合いを見計らい、一気に喉に流し込む。
世にこれ以上、美味い飲みものはございませぬな。

20分ほどの滞在で2杯飲み干し、吾妻橋を西に渡り、
地番のうえでも台東区・浅草に入場する。
すると橋のたもとに黒山の人だかり。
歩み寄れば見るもレトロな楽団による路上演奏ではないか。

その名も東京大衆歌謡楽団
photo by J.C.Okazawa

実は彼らのことは昨年10月にも不忍池のほとりで見掛けた。
そのときも思わず聴き入ってしまったが
今回はギターがバンジョーに取って変わり、
風変わりなドラマーまで参加している。

発泡スチロールをドラムに見立てたヘンなオバさん
photo by J.C.Okazawa

何でも今月下旬には日本橋の寄席で演奏会を開くという。

東海林太郎の「国境の町」をリクエストして帰路に着く。
そうだ東海林太郎といえば、
思い出されるのは昨年暮れに亡くなった高峰秀子。
明日は大好きだった彼女のことを綴りたい。

【本日の店舗紹介】
「23 BANCHI CAFÉ」
 東京都墨田区吾妻橋1-23-36
 03-5608-3831


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2011年1月12日(水)

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