「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1182回
高峰秀子の思い出(その2)

満87歳の誕生日を待たずして逝った高峰秀子。
今日は昨日の続きです。
愛読書に彼女の著した「おいしい人間」がある。
ジャンルを超えた著名人が
実名でジャンジャン登場するエッセイ集だ。
中でも藤田嗣治・梅原龍三郎・荻須高徳など、
画家たちの知己が目立つ。

と、ここまで書いたところで
このパソコンに着信メールあり。
本日のコラムを読まれたM塩サンからであった。
初めてメールをいただいたが、この方も秀子ファン。
ご本人には事後承諾を得るとして
さっそく抜粋して紹介したい。

はじめましてコラム食べる歓びの愛読者です。
毎朝、もしもしQさんと、
食べる歓びのコラムを読んでから仕事にかかります。

(うれしいですなァ)
今朝は私の大好きなひとのことが書いてありましたので
うれしくなり初めてお便りします。

「私が一番嫌いなのは映画界のパーティーだ!」
なんて、およそ女優らしくないことを言っていた大女優は
死者は生者をわずらわすべからず、
そのモットー通り、女優高峰秀子の幕を下ろしましたね。
オカザワさんが高峰秀子ファンと知りうれしい限りです。

私も映画はもちろんですが
エッセイの面白さに魅了されたクチです。
つつりかた巴里、にんげんのおへそ、おいしい人間。
みな良かったですがやはり
『わたしの渡世日記』、この自伝はすごいですよね。
頑固で、屈託がなく、高峰さんの人間を見る目はきびしい。
文章に滋味があり、一級の自伝だと思います。

他人を書くときにその人の心の中に鋭く食いこんでいき、
自分を書くときにはみごとに自分を突きはなしています。

(M塩サン、お見事!)
高峰秀子がタダモノでないとわかるのは
一流の人がいったん高峰秀子に惚れると、
たまらなくなるみたいです。

私の好きな杉村春子を
背中でもセリフを喋れる名人と言って尊敬しています。
好きな人がもうひとりの好きな人のことを
好意的に見てくれると嬉しくなってしまいますが
杉村春子のこともそう・・・。

私の母親と同い年の女優にこんなに入れあげるとは
アホみたいですがスクリ−ンの魔力ですよね。
食べ物の話はすこし措いといて
高峰秀子のはなしをしばらく書いてくださいね(笑)

(ハイ、そうしまッス)

              ( )内赤字 by J.C.

M塩サン、ありがとうございました。
何だか今日は代わりに文章を書いてもらっちゃったみたい。
文中、驚いたのは「わたしの渡世日記」です。
数ある未読の彼女のエッセイから
「まずはコレから」――そう思って
メールをいただくホンの数時間前、
八重洲ブクセンに注文したばかり。
すると電話口のY野サンなる女性曰く、
「品切れで今月末の重版が決まっていますが
 かなりお待ちいただくことになります。
 それでもよろしいでしょうか?」
いいでしょう、いいでしょう、よろしいですとも。
著者も草葉の陰で歓んでいることでしょう。
テレくさがってペロリと舌を出したりしながら――。
てなわけで今回は他人のフンドシで相撲を取りました。
反省しつつ週明けも再度、秀子シリーズいきます。

              =つづく=


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2011年1月14日(金)

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