第1189回
悪魔のフィッシュを食らう(その1)
いやはや、カタール戦は大変な試合だった。
と同時にサッカーの醍醐味を存分に味わわせてもくれた。
最初の失点は奪い返せると確信したものの、
DF吉田の退場直後に決められたときは
天を仰いでまさに「八甲田山」の心境。
「天はわれらを見放した!」である。
あそこからの逆転を誰が予想したろうか。
「サッカーにはドラマがある」――エリザベス女王は正しい。
ザックJAPANには不運な“赤紙”が立て続けに舞い込むが
それを意図的な“令状”とは取りたくない。
川島はミスジャッジ、吉田はバッドラックに過ぎない。
しっかし、日本は成長したものだ。
これには長谷部キャプテンの進化と新星・香川の躍進が大きい。
岡崎だって、もはや単なるゴール前の飛び込み屋ではない。
いや、けっこう、けっこう。
そうして迎えるトゥナイト。
予想通り、“赤い悪魔”がやって来た。
ところが宿敵は休養日が1日少ないうえ、
ごていねいに30分間のエクストラタイムまで戦ってくれた。
そのへんは韓国持ち前の強靭な精神力で克服しようが
ディスアドバンテージは避けようがない。
そんな相手におめおめと負けるワケにはいかない。
今宵は日本全国津々浦々、TVの前に
「10時半(正確には10時25分)だよ、全員集合!」 と
いきたいものだ。
日本が“赤い悪魔”と一戦交える前に
“悪魔のサカナ”を食べてきた。
このサカナ、英語でデヴィルフィッシュ、
あるいはモンクフィッシュともいう。
前者は悪魔魚、後者は僧侶魚の意味でまったくの正反対。
日本では、そう、今が旬の鮟鱇のことである。
旧神田連雀町の「いせ源」を訪れたのだ。
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店頭に飾られた鮟鱇野郎
photo by J.C.Okazawa
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気の弱い女性なら卒倒しそうな面構えの持ち主ではないか。
自称グルメが男女3人ずつの計6人で
美食クラブ(?)を結成したのは2年ほど前。
会の名前を“SKYAMKOクラブ”と称する。
女性はファーストネーム、男性はラストネーム、
そこに加えてホームグラウンドとするレストラン、
頭文字を7ツつなげてみたらそうなった。
「いせ源」訪問は旧蝋のとある夜。
世間では忘年会と呼ばれる会合であった。
幹事のA子が選んだ店にK代もY里ももろ手を挙げて賛同、
オトコたちの出る幕なんかありゃしない。
とはいえ、J.C.にとっては久々の「いせ源」、
べつにとやかく言うつもりなどサラサラなく、
むしろ賢明なチョイスと、ほくそ笑んでいたくらい。
一同小部屋に会し、ビールにて乾杯。
1年を振り返り、互いの無病息災を
おのおの信ずるところに感謝申し上げる。
そこへ前菜と煮こごりが運ばれた。
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3点盛りの前菜
photo by J.C.Okazawa
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左から焼き帆立いくら射込み、たら子含め煮、とんぶり若布。
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小ねぎの緑鮮やかな煮こごり
photo by J.C.Okazawa
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スックと立った針生姜のたたずまいがよろしい。
忌まわしいことに2010年は
亡くなったり、倒れたりした友人が異様に多かった。
そんなことを思いながら飲むビールは苦い。
スーパードライなのにキリンラガーの味がする。
=つづく=
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