「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1194回
今日も決め手の串を焼く(その2) 

最初に一言おことわりを。
当コラムは土・日に休みをいただいているが
先週の土曜日はアジアカップの決勝当日とあって
特別に一筆したためました。
ぜひ、巻き戻してご覧ください

J.C.は満足であります。
宿敵を連覇してのアジア王者はまさに
Yes, You did it ! である。
決勝戦は川島はじめ、ヒーローが目白押し。
TVもスポーツ紙もその話題で持ちきりだが
心を鬼にして苦言を呈してみたい。

まずは内田。
ベッカム仕込みのアーリークロスといえば聞こえはいいが
あれでは早すぎ、もっとエグらないとゴールにはつながらず、
ビビッて勝負できないようでは情けない。
躍動する長友を目の当たりにして
彼我の差をあらためて思い知ったことだろう。
ひたすら精進すべし。

そして藤本。
こちらも根性なしのチキンでまったく通用しなかった。
経験不足を差し引いても現段階での代表召集は時期尚早だ。
ただし、いい勉強にはなったと思う。
今後の成長に期待したい。

日本にとって幸運だったのは豪州の度重なる決定的シーンが
常にキューウェルによってもたらされたこと。
日本キラーのケーヒルが、うち1度でもからんでいたら
間違いなくヤラれていただろう。
とは言うものの、運も実力のうち、
これでザッケローニ監督も枕を高くして眠ることができる。
“締めたきり雀”のゴールネット柄ネクタイを
ようやくクリーニングに出してネ――。

さてさて、日本橋は小網町の「銭形」に来ている。
小網町は世に広く知られた人形町の隣町である。
銀座「銭形」の流れを汲むこの店の存在は
ずいぶん前から認知していた。
近くに気に入りの洋食店「桃乳舎」があるからだ。
けれども入店したのはつい最近のことである。

これには理由があった。
まだ月給取りの頃の直属の部下が
この店の大将の同級生と判明したからだ。
そのH江クン、彼の先輩で同じく元部下のK畑クン、
2人とともに訪れたのは
秋が急速に深まりを見せ始めた昨年の10月。

思いのほかといっては失礼ながら
焼き鳥も焼き魚も上々だった。
今回、ウラを返したのは12月も押し詰まった最終週である。
以前、お世話になった編集者を同道した。
J.C.には2度目となる紫蘇巻焼鳥とつくね焼きも
彼女にとっては初めてのシロモノ。
さすがに店主が渾身の力を込めて焼く決め手の2串、
見れば、ご満悦の表情で頬張っているではないか。
仕事ぶりもそうだったが、実に正直なヤツである。

焼き鳥専門店ではないから焼き鳥だけでは芸がない。
品書きに“光子の新香”というのを発見。
これは自家製新香で光子は店主のご母堂にして先代の未亡人。

3点盛りの光子の新香
photo by J.C.Okazawa

きゅうりはぬか、白菜は塩、大根は醤油ベースで漬けられており、
なかなかに芸がこまかい。
これもまた必注の一鉢といえよう。

何か海鮮モノをいってみようと〆さばを追加する。
前回はかつおの刺身、さんまの塩焼き、
つぼ鯛の開きなどをいただき、
それぞれの水準の高さを確認している。
はたして〆さばも特筆であった。

酢と塩の塩梅のよい〆さば
photo by J.C.Okazawa

見てくださいよ、この色艶を。

再び焼き鳥にリターンして

ねぎまは塩とレモン、レバーはタレで
photo by J.C.Okazawa

残念ながらどちらも紫蘇巻とつくねには及ばない。
今度来たら決め手の2串を2本ずついただこう。

スーパードライの中瓶がぬるかったので
一番搾りの生に切り替え、途中からは剣菱の上燗をやった。
そこそこ飲んでホロ酔い気分も心地よく、
店主オススメの小網神社に賽して、そぞろ歩く人形町。
見上げる夜空には、か弱く光る名も知らぬ星々。
2010年もあと2日を残すのみの星月夜であった。

【本日の店舗紹介】
「銭形」
 東京都中央区日本橋小網町13-4
 03-3667-6743


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2011年1月31日(月)

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