「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1199回
リストラを食っちゃいました

大相撲界がまた激しく揺らいでいる。
昔からくすぶり続けていた八百長が発覚した。
個人競技のプロスポーツには常につきまとう問題だが
此度はいよいよ疑惑だけにとどまらず、
その実態・真相が白日のもとにさらされつつある。

先週の木曜日だったか、TVの報道番組に
元小結でタレントの龍虎が出演していた。
第16代の放駒親方で引退後にTVの料理番組にも出ていた。
ちなみに現在、弁明に大わらわの
放駒理事長(元大関・魁傑)は17代。

その龍虎が
「仲のよい力士が自分との、この一番に勝てば
 横綱という状況では矛先が鈍るのも当然」
 ――と発言していて、これには深くうなずいた。
古くは若・貴兄弟の優勝決定戦が思い出されるが
あれを八百長とは言えないだろう。
こういうことはスポーツに限らず、
勝負事には必ずついて回るもの。
例えば囲碁や将棋の世界にだってあるだろう。
「矛先が鈍る」――けだし名言というべきか。

相撲協会の公益法人不認可、両国国技館の没収が取りざたされ、
八百長力士には解雇、いや、ひょっとしたら
除名の厳罰が下されるかもしれない。
今回の八百長事件は相撲賭博ではなく、
力士の番付地位保全がその元凶。
十両100万、幕下ゼロの月給制度は
まさに天国と地獄、これが最大のポイントであった。
封建時代じゃあるまいし、
こんな理不尽な制度は早急に改善されてしかるべき。
アルバイトの学生にさえ、
最低賃金の指導がその筋から入る時代なのに。

馘首される力士たちに掛けたわけではないが
新年会の席で品書きに“リストラ”というのを見つけた。
集まったのは東上野の裏路地にたたずむ「東京苑」。
お世辞にもキレイとは言えない焼肉店の壁に
カルビやハラミと並んで“リストラ”の文字があったのだ。
一同、顔を見合わせ、「リストラって何のことだ?」である。
ここは読者の皆さんもご一緒に考えていただいきたい。

正解は鳥のせせり。
小肉などとも呼ばれるせせりは鳥の首肉のこと。
要するに、馘(くび)と首を掛けているのである。
飲食店では初めて見掛けた“リストラ”だが
実際、そんな目に合った人には極めて酷なネーミング。
とは言え、焼き鳥屋にあれば
必ず注文する部位につき、迷わずお願いした。

「東京苑」はミノやホルモンが秀逸ながら
カルビやハラミには感心しない。
ロースに至っては(並)も(上)も大差なく、
オマケにどちらも冷凍の解凍らしくパッサパサ。
同じ店でこれほど格差の激しいケースは珍しい。
というよりも、ほとんど記憶にないくらい。
臓物系を食べていればゴキゲンなのだが
正肉、それも上等な部位になればなるほど質がオチる。
あまりの違いにあらためて
十両と幕下の落差を思い出してしまうじゃないか。


【本日の店舗紹介】
「東京苑」
 東京都台東区東上野2-15-7
 03-3835-0488


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2011年2月7日(月)

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