「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第1212回
散歩をすれば「ときわ食堂」にぶつかる

東京の豊島・北・荒川・台東区辺りを
あてもなくブラブラ歩いていると、
かなりの確立で出食わすのが「ときわ食堂」。
例外なくいかにも大衆食堂といった店構えである。
飛切り旨い料理を出すでもないのに
食事派、晩酌派、どちらにも居心地のよい店が多い。
食堂を謳ってはいても大衆食堂と
大衆酒場の二足のわらじを履いているのだ。

出生は古く、はるか昔にさかのぼる。
なんでも明治が大正に移行する頃、
墨東・本所に1号店が生まれたとのこと。
あいや、チェーン店じゃないから1号店はおかしい。
始祖、あるいは流祖と呼んで敬意を表したい。

浅草・雷門、西浅草・合羽橋、入谷・言問通り、田端・動坂、
町屋・高架下、そして巣鴨とげぬき地蔵通りには2軒、
まったくもって枚挙にいとまがない。
意外だったのは東京のほか、
大阪にあったり、福井県・大野市には3軒もあるという。

数ある「ときわ食堂」のルーツが一緒かどうか知らぬが
ほとんどが暖簾分けの独立採算制らしい。
ここが大手外食チェーンとは異なるところ。
大量仕入れによるメリットは得られないから
何とか人情で補っているのが現状だろう。
だからこそ一膳のめし、一椀の汁から温もりが伝わるのだ。

しょっぱすぎたり、甘すぎたり、
お新香に化学調味料をぶっかけちゃったり、
眉をひそめることがあろうとも
儲けに固執しない商売は客の気持ちを和ませてもくれる。
チェーン店ばかりでめしを食い続けていたら
若者はロクな大人になれやしませんて。

駒込の「食堂 ときわ」は初めての訪問だった。
近所の病院に友人を見舞ったあとの帰り道、
たまたま通りすがって晩酌に立ち寄った。
オヤッと思ったのはほかがこぞって「ときわ食堂」なのに
ここだけ「食堂 ときわ」を名乗っていること。
創業者に何か思うところがあったのだろう。

先客は近所のオジさんが独りきり。
静かに酎ハイを飲んでいる。
よっこらしょっと、腰をおろして品書きの吟味に入った。

巷に認知されつつあるつぼ鯛があった
photo by J.C.Okazawa

見た目は悪くともつぼ鯛は美味なサカナである。
主な漁場は海戦で知られたミッドウェーだという。

ビールとともにガンモドキの煮たのが来た。
こういう町の食堂はチェーン居酒屋のように
あざといお通し料なんかけっして取らない。
これを清廉潔白と言わずして何と言う。
アジフライでビール、さつま揚げで日本酒をやった。

フライには小ぶりなアジが一番
photo by J.C.Okazawa


玉ねぎ入りのさつま揚げ
photo by J.C.Okazawa

数ある「ときわ」の中でもここは上位にランクされよう。
閉店時間がワリと早いから、その夜の1軒目として使おう。

本日はここで読者のみなさんにご報告。
4年8ヶ月の長きに渡り、綴ってまいりました「食べる歓び」
いよいよ「おアトがよろしいようで・・・」の潮どきを迎えました。
Qさんサイトにおける連載は今月末、28日をもって満了です。
とは申せども、J.C.コラムはカタチを変えて再出発、
3月1日には新装開店と相成りましょう。
新しいお題は「生きる歓び」
詳しいハナシはまた明日にでも・・・。


【本日の店舗紹介】
「食堂 ときわ」
 東京都北区田端4-1-1
 03-3824-6070


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2011年2月24日(木)

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