第13回
カネカネカネのケーエイ学5: 間に入る責任。

広告の仕事は、だいたい
(0)発注者→(1)代理店→(2)制作会社→(3)部品クリエーター
という階層構造になっている。

わが社は、仕事を始めたころは
図版やイラストを納入する(3)の立場であったが、
いまは、ほとんど(1)か(2)のレベルで仕事をしている。
なるべく面白い仕事をしたいと思い、そのためにはできるだけ、
クライアントに近い立場で、クライアントと向き合って
仕事をしたいと考えてきた。

直接会うことで、クライアントの考え方やセンスを感じることができるし、
その場で、いろいろな提案をすることもできる。
クライアントと会うことは、効率と品質向上に直結するのである。
代理店によっては、制作会社にクライアントと直接接触をさせない
ところもあるが、そのようなケースでは、
わが社はうまく力を発揮できない。

不思議なことに、面白い仕事ほど儲かるものだし、
結果も実績として自慢できるものになる。
自由のない、面白くない仕事ほど経済的にもつらい。
「カネを稼ぐためには、面白くない仕事を我慢してやらなければならない」
という一般通念があると思うが、ぼくの経験では逆なのだ。
トランプで大貧民というゲームがあるが、
一度貧民に落ちると抜け出すのが難しい、
ビジネスもそういう感じがあると思う。

この階層構造のなかにいて、
間に入っている会社の責任について、不信感をもったことが何度かある。
単純に言うと、「金が入ったら払う」という感じの会社がかなりあるのだ。
単純に支払時期の問題であれば、もちろんケースバイケースである。

もっと根深い問題がひそんでいる場合がある。
「金が入ったら払う」という人のうち相当数が、
金が入らなかったらどうするつもりなのか、考えていないのである。

もちろん、ビジネスはそれぞれのレベルで独立して成立している。
たとえ(0)→(1)でトラブルがあったとしても、
(2)→(3)で仕事が納品されている以上、
支払いは当然されなければならない。
その覚悟のない人たちが、けっこういるのである。


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