第43回
組織ケーエイ学18: ビジネスモデル特許が取りたい!

ビジネスモデル特許という言葉は、比較的新しい。特許は、科学法則を応用した、高度な技術的発明でなくてはならない。むかし、ソフトウェアはモノではないから、特許はとれないということになっていた。いまでもそのなごりなのか「ソフトウェアを固着させた磁気ディスク等」などというわけのわからない言葉が生きている。現在では、ソフトウェアも技術的発明と認められ、特許の対象になる。

さて、ビジネスモデル特許とは、ビジネスの仕組みに関する「取り決め」みたいなものだが、IT技術とうまく融合できれば、ソフトウェア関連技術として特許がとれる。とにかくそういう時代になった。

住友銀行の「パーフェクト」あたりが有名な例だが、要点はこうだ。多数の顧客をかかえる企業が口座振り込みをさせる場合、顧客には同姓同名もあるし、金額がまちがっている場合もあるから、突き合わせがなかなかメンドくさい。ふつう企業の口座番号は一つであるが、その口座番号にくわえて顧客ごとに枝番をふれば、枝番で照合することができる。じつに単純なアイディアであり、これが発明といえるようなものかどうか、いまも議論されていると思うが、特許庁は発明と認めて特許を与えた。

このようなものが特許になるのならば、と企業はこぞってビジネスモデル特許の申請に熱を入れた。現在では、ビジネスモデル特許を広く認めすぎたと反省も入って、特許庁の審査も厳しくなっているそうだ。中小・零細企業としては、このビジネスモデル特許は、のどから手が出るほど欲しい。とくにインターネットで新しいビジネスを考えている者にとって、ビジネスモデル特許は、忘れているわけにはいかない。

わが社では、まいど画期的なことを考えているわけでもないが、それでもこの特許には関心もあり、いくつか出願している。しかし特許出願はしても、どうビジネスを展開していくか、まったく別次元の難しさがある。

「こないだの出願はよかったのに、なぜあれを事業化しないんですか?今回は、発明としては面白いけど、ビジネスになるんですかね・・・」などと弁理士の先生に言われてしまったりもする。


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