第77回
商品コンセプトはこう創る その7
95日前 スターバックス、ドトールにもない抽出方法

主役が3人、お互いに主張しあってまとまらない。
これが今までのコーヒーの常識でした。
しかしカップオブエクセレンスだけのブレンドは、
その常識をくつがえしました。
その理由は本当の脇役が別にいたからです。

カップオブエクセレンスを単純に美しく飲むなら、
ペーパーフィルターより、金属のフィルターの方が、
美味しいと多くの専門家は云います。
ただ金属フィルターは細かいコーヒー微粉を通す為、
日本のマーケットには今一つ評価されてませんでした。
芝さんチームは一つの方法にトライしてみました。
それは過去にこのページで紹介した
「ジャポニズムコーヒー」の抽出方法で
コーヒーを抽出してみようとしたのです。

ジャポニズムコーヒーの抽出方法の代表は
ドリップコーヒーです。
ドリップコーヒーは無圧に近い圧力で
粗挽きしたコーヒーを充分にむらし、
コーヒーを濾(こ)す方法です。
素材は、ペーパーですが、
最も古くから用いられて来たのは
「片ネル」と呼ばれる片側だけの毛を起こした
ネル製の布フィルターです。

しかし、そのネルフィルターは、
ヤグラと呼ばれる金属製の道具にひっかけて止め、
ポットから手で抽出するシンプルな道具でした。
松井さんの店は1日最大600名近いお客様が
利用すると予想されたので、
自動抽出のコーヒーマシンの導入は必要な条件でした。

自動抽出の大型のコーヒーマシンで
ドリップ式のフィルターは
100%近くペーパーフィルターです。
発想とは出口のある思いつき。
芝さんはこのペーパーフィルターと
全く同じ大きさと形状の片ネルのフィルターで
ためして見ました。
結果は大成功、最強のブレンドコーヒーになりました。
本当の脇役は布フィルターだったのです。


『突き当ったら、止まって考える
始めのレールの乗り方が本当に正しかったかどうか知る為に』


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