第32回
抵当権と根抵当権は一字違いですが、大きく違います。

銀行からお金を借りるときに設定する担保は、
抵当権が普通だと説明しました。
この抵当権には、ただの抵当権と根抵当権の2種類あります。
抵当権も根抵当権も、競売を申し立てして、
売却代金から優先的に返済を受けるという抵当権である、
ことには変わりありません。
抵当権と根抵当権は、
1回しか銀行から借金をしなかった場合には違いはありません。

借金を何度もするような場合に違いが出てきます。
Qさんは、事業資金3000万円をA銀行から借りました。
自宅に3000万円の抵当権をつけました。
10年後2000万円を返し、残り1000万円となったところで、
会社が倒産し銀行への返済ができなくなりました。
QさんはA銀行から3000万円借りた後、
A銀行、B銀行、C銀行、D銀行家から、
それぞれ600万円づつ借りていました。

このような例で、最初にA銀行が設定したのが抵当権だとA銀行は、
1000万円のみしか優先して返済をうけることができません。
ところが、根抵当権というのは、
設定した枠の範囲で(上の例で言うと、3000万円)、
その後のA銀行との取引をすべてカバーする抵当権なので、
A銀行が抵当権でなく、根抵当権を設定していた場合には、
もともとの1000万円だけでなく、
その後の600万円の分も優先して返済を受けることができるのです。
銀行が、会社に事業資金を貸すときには、
お金を貸したり返したりということが繰り返されるので、
その度毎に抵当権を設定したり、消滅させたりすることは、面倒だし、
費用もかかることから、根抵当権を設定するのが普通です。


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2002年10月10日(木)

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