第40回
担保がない場合には、裁判になります。

お金を借りて、返済ができなくなってしまった。
そんな場合に、自宅を担保に入れていれば
(抵当権を設定していれば)自宅を差し押さえられて、
競売にかけられるという話を以前にしました。

借金の担保を取っていない場合には、
債権者は訴訟を起こしてきます。要するに裁判になります。
みなさんは、裁判は、どちらの言い分が正しいかを決めるために
やると思っていませんか?
裁判をするのは、それだけが目的ではないのです。

裁判をすると判決が出ます。お金を貸した場合、
きちんと金銭消費貸借契約書があれば、
借主は貸主にその契約書に書かれたお金を払えという判決が
出るでしょう。
この判決を取るために裁判をするわけです。

日本の法律では、原則として、判決があってはじめて、
相手方の財産を差し押さえることができるようになります。
借主が任意に返済しない以上、
強制的に返済をさせるしかありません。
法律上、強制的に返済させるには、
借主の財産を差し押さえて競売にかけるしかありません。
そして、借主の財産を差し押さえるには、判決が必要なのです。
だから、借主がお金を借りたことを認めていたとしても、
任意に返済をしない場合には、貸主は裁判を起こしてくるのです。

抵当権を設定するなど担保権を設定しておけば、
例外的に裁判をしなくても財産を差し押さえ
競売にかけることができるので、
この裁判の手間は省けるということになります。
しかも、担保権を設定しておけば、
他の債権者に優先して返済が受けられるのです。
だから、銀行など金融機関は、
普通、お金を貸すときに担保を取るわけです。


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2002年10月22日(火)

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