第87回
礼金・権利金は戻ってこないお金ですが、
敷金保証金は預り金で戻ってくるお金です。

事務所を借りるときに取られるお金として、
礼金・権利金・敷金・保証金などがあります。
これは地方によって、名前や相場が違うようです。

礼金や権利金は、建物賃貸借契約するときに
賃料の他に貸主の収入となり戻ってこないお金です。
賃貸借契約は、もともと目的物を借りて、
その使用の対価として賃料を支払う契約です。
ところが、建物の賃貸借契約には、
この礼金や権利金というものがあるのです。

この礼金や権利金は、一般的には、
建物賃貸借契約を結ぶと借地借家法により
借主に強力な権利(「賃借権」「借家権」などと言います。)が
成立するのでその代償であるとも言われていますし、
貸主の立場が強いので、
今後建物を利用させてもらうこと自体の
対価であるとも言われています。

基本的に戻って来ない性質の礼金・権利金ですが、
契約期間より前に契約が終了した場合には、
事情によってはその期間に応じて
返還してもらえる場合もあります。
ただ、最近の不況で、事務所の賃貸の場合、
礼金や権利金を取らないことも多いようです。

礼金や権利金が戻ってこないお金であるのに対し、
敷金や保証金は、前回説明したとおり、
基本的には貸主が未払賃料や原状回復費、
損害賠償請求の担保として預っている預り金です。
だから、賃料の未払いもなく、貸主に損害も与えず、
原状回復も必要がなければ、全額戻ってきます。

ただ、保証金については、
建物賃貸借契約書に一定期間に一定割合の金額を
償却するという規定が入っている場合があります。
契約するときに、保証金は何もない場合には
全額返還されるのか、2年間でどれくらい償却されるのかなど
注意する必要があります。
ひどいときには全額償却すると記載されている場合もあります。
この場合は、保証金という名称でも実質的には権利金です。
賃貸借契約が終了した場合、
保証金がどのくらい返ってくるのか契約書でよく確認してください。


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2003年1月9日(木)

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