第99回
無免許の仲介に対しては法律上仲介手数料を
支払う必要はありませんが、
支払ってしまうと返してもらうことはできません。

先週の宿題は
不動産業(宅建業)を営むには
宅建業の免許が必要だと説明しました。
宅建業の免許がない人が仲介して、
仲介手数料をもらってしまった場合、
後から返せと言われた場合手数料を返さなければならない。
でしょうか? ×でしょうか?

という問題でした。

「事務所を借りる」場合の仲介手数料は
ご説明したとおり賃料の1ヶ月分なので、
無免許で仲介をしているという話はあまり聞きません。
でも、土地の売買となると、
売買代金が何十億円にもなるケースもあり、
1%の仲介手数料をもらうだけで何千万円にもなりますから、
無免許で不動産取引の仲介をすることを行う
いわゆる不動産ブローカーという人が出てきます。
バブル経済華やかなりしころは、土地の価格が高騰し、
土地の取引が活発でしたから、土地の売買の話になると、
無免許の不動産ブローカーが出てきたそうです。

ちなみに、現在、土地の価格が下がっていますが、
企業がリストラで保養所や工場跡地を
手放すことが多くなってきているので、
意外に大型物件の売買が多いようです。
だから、不動産ブローカーという人たちが
出てくる場面もあるわけです。

宅地建物取引業法では、
無免許で不動産取引の仲介を禁止しており、
これに違反すると、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金、
あるいは懲役と罰金の両方が科されることになります。
法律に違反して、土地の売買を成立させた場合、
約束どおりの報酬がもらえるかという問題ですが、
たとえ、契約書で土地の売買が成立した場合には
仲介手数料を支払うと約束していた場合でも、
仲介手数料を支払う必要はありません。

厳密に言うと、
当事者間では契約は有効で支払義務はあるのですが、
支払われない場合に裁判所は協力しません。
だから、普通であれば、支払われない場合には
訴訟をして判決をもらうところですが、
無免許の仲介手数料は裁判にかけると負けてしまうのです。
だから実際上は支払う必要はないのです。
でも、一度支払ってしまうと、
当事者間では支払義務がありますので、
返せとはいえないのです。

こういうのを法律上は、「自然債務」と言います。
だから、宿題の答えは×です。
無免許でした仲介手数料は
もらってしまえば返さなくてもOKです。
ただ、無免許の仲介は、
犯罪で懲役刑が科されることにもなりますので、
不動産取引の仲介を行うのであれば
免許を取ってやった方がいいと思います。


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2003年1月27日(月)

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