第109回
「権利証」という名前の書類はありません。

先週の宿題は
土地を持っている証拠書類として権利証があります。
不動産について弁護士に相談すると
「権利証」は誰が持っていますか?などと聞かれたりします。
さて、実際に、「権利証」という書類が存在する。
○でしょうか? ×でしょうか?

という問題でした。

「権利証」という言葉はよく使われています。
土地など不動産の取引には必要だからです。
「寝たきりの主人の不動産を息子さんが
自分の借金の穴埋めのために勝手に処分しようとしている。
処分されないようにするにはどうしたらよいか。」
という相談を受けたりします。
そのときに、弁護士は
「権利証」は誰が持っていますか?
奥さんが預かっていますか?」などと聞きます。

この他にも、不動産関係の事件の場合
「権利証」が必要になるケースがありますが、
実際「権利証」と思って持っていたのは、
不動産登記簿謄本だったというケースもあります。
「権利証」とは、権利に関する登記済証のことを言います。
(不動産登記法35条1項3号など)

所有権などの権利を移転するときには、登記をします。
登記をする際に、売渡証書(売買契約書の場合もあり)や
申請書の副本を提出します。
この書類に、「登記済」という印鑑を
法務局で押して返してくれます。
これが、権利に関する登記済み証、即ち「権利証」です。
即ち、「権利証」という題名の書類があるわけではないのです。
だから、宿題の答えは×です。

登記済み証には、所有者の住所の変更の登記済証や
抵当権の抹消などの登記済証がありますが、
土地の売買(所有権移転)に必要なのは、
所有権に関する登記済証です。
表紙がついてなくて、
売買契約書に登記済という印鑑が
押されているだけのものでも「権利証」です。
不動産を持っている方、
権利証があるか確認してみてください。


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2003年2月10日(月)

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