第114回
権利証を失くしても土地の売買は可能です。

先週の宿題は
土地の売買など不動産取引で
必要になる「権利証」ですが、
紛失した場合には土地の売買はできなくなる。
○でしょうか? ×でしょうか?
という問題でした。

答えは、×です。

土地や建物の売買には、権利証が必要となります。
これは、土地や建物の登記名義を新しい所有者に変えるときに、
権利証を法務局(いわゆる「登記所」)に
提出する必要があるからです(不動産登記法35条)。
人間は、どんなに注意しても、
書類を紛失してしまうことはあります。
では、権利証を失くしたら、
土地を売ることはできなくなってしまうのでしょうか?

権利証の場合は、そんな風にはなっていません。
万が一、権利証を失くした場合でも、
権利証の代わりに、保証書という書類を提出すれば、
登記の名義を変えることができます(不動産登記法44条)。
だから、宿題の答えは×です。

この保証書を作成するには、2人の保証人が必要です。
この保証人は、これまで説明してきたお金の支払を
保証するわけではありません。
現在の登記上の所有者が登記の名義を変えようとしている人に
間違いがないことを保証するのです。
保証人と言われていますが、証人ですね。
この保証人は、土地や建物を持っている人しかなれません。
だから、弁護士をしている僕も不動産を持っていないことから、
保証書を作成するときの保証人になれないのです。

気がついた方もいらっしゃるでしょうが、
最近、法律の条文を載せています。
法律の条文を載せると文章が堅く見えて
拒絶反応が起きる方もいるかと思って、
あまり書かないようにしていました。
でも、読者の方から、自分でももっと勉強したいので
法律上の根拠も教えて欲しいという要望がありました。(偉い!)
載せた方がいいのか、よくないのか僕自身はよくわからないので、
みなさんからのご意見お待ちしています。

ちなみに、質問のあった不動産屋さんが
無免許で仲介した場合の罰則については
宅地建物取引業法79条に書かれています。


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2003年2月17日(月)

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