第115回
いろんな証券を失くした場合について教えます。

昨日、権利証を失くした場合でも、
保証書を作成することによって、
不動産の売買をすることができるというお話をしました。
ついでに、他の証券や証書を失くした場合どうなるか、
ご説明します。

世の中には、株券、ゴルフ会員権の預託金証書、
生命保険の保険証書など、
いろいろな証券・証書が出回っています。
事件を処理する過程で、僕が「証券ありますか?」と尋ねると、
「あると思っていたけど、見つかりません。」
という回答を受けることがあります。
権利証と同様普段まめに使うものではないので、
どこかにしまっておいて見つからないということは多いようです。

(1)株券
株券は有価証券といって、
証券がないと権利者として認められません。
株券を証券会社などに預けず
自分で持っている人は少ないと思いますが、
株券を紛失すると、株を売ることはできません。
ただ、株券の場合、
前の株券を無効にする手続きを取ることによって、
株券の再発行をしてもらうことができます(商法230条の6)。

(2)ゴルフ会員権の預託金証書
ゴルフ会員権の預託金証書は有価証券ではないので、
証書がなくても、権利者であることを証明できれば、
プレー権や預託金の返還を求めることができます。
しかし、売却については、
法的には証書がなくてもできることになっているにもかかわらず、
多くのゴルフ場は証書がない場合
任意に名義書換に応じないので、
実際の市場では預託金証書がないと会員権を買う人はいません。
裁判してまで会員権が欲しいと思う人はなかなかいないからです。
多くのゴルフ場では預託金証書の再発行はしてくれません。
だから、預託金証書をなくすと
実際上売却することは不可能ということになります。

(3)生命保険などの保険証書
保険証書も有価証券ではないので、
証券がなくても、保険契約をしていることが証明できれば
保険金や解約返戻金をもらうことができます。

このように失くしても何とかなる場合は多いのですが、
失くすと費用・労力がかかりますから、
一度きちんと確認してみたらどうでしょうか?


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2003年2月18日(火)

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