第117回
契約書の名前を業務委託という名称にしただけでは
転貸と判断されます。

昨日、事務所や店舗の又貸しは、
法律や契約で禁止されているという説明をしました。
そこで、ちょっと知恵のある人は、
業務を委託しているのなら転貸でないから、
事務所や店舗を使いたいという人に
業務委託するという契約を締結したりします。

契約の名前を業務委託契約書としてあり、
中身も、「甲は乙に対し業務を委託する」などと書いてあります。
でも、それだけで契約が業務委託契約だから転貸ではない、
即ち契約違反や法律違反ではないとは言えません。

第12回で契約書には標題をつけるけど
法律上あまり意味はないという説明をしました。
業務委託契約という標題をつけても、
中身が賃貸借であれば、転貸なのです。
業務委託契約が転貸なのか、そうでないかについては、
裁判でたくさん争われています。
何とか転貸禁止を免れようとする人が多いんですね。
僕も転貸か業務委託契約か、裁判で争ったことがあります。

Aが貸主、Bが借主、
CがBから業務の委託を受けた人として説明します。
業務委託契約という名前でも、

(1)営業に関して業務を行なっているCが
Bとは独立して仕入れや販売など営業について
自分の判断で行なっている

(2)Cが売上や利益にかかわらず、
常に一定の金額をBに支払っている

そういう場合には、業務委託契約という名前の契約でも、
実際は転貸借ですから、契約違反となります。

ちなみに、僕の扱ったケースでは、
一般の方でなく弁護士が作成した業務委託契約でしたが、
判決では転貸借と認定され、僕の方が勝ちました。


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2003年2月20日(木)

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