第119回
普通の建物賃貸借契約では契約にかかわらず
賃料の減額を求めることができます。

先週の宿題は 
普通の建物賃貸借契約で、
契約書に3年に1度賃料の値上げができると
増額のことしか書いていない契約でも、
賃料の減額を求めることができる。
○でしょうか? ×でしょうか?

という問題でした。

僕の連載をよく読んでくれている人には
簡単な問題だったと思います。
第106回で少し書いたように、
普通の建物賃貸借契約では、
契約書の規定にかかわらず、経済情勢の変動によって、
賃料の減額を求めることができます。
だから、答えはです。

ただ、答えが間違ったとしても、がっかりしないでください。
契約は、当事者で決めた内容が
法律に優先するということが原則ですから、
契約に増額のことしか書いていない以上
増額しかできないと考えることにも十分理由があるわけです。

しかし、契約時点で経済情勢の変動を
すべて見通すのは難しいこと、
特に借地借家法32条に経済情勢の変動によって
賃料が不合理になった場合には
増減できるという規定があることから、
契約の規定にかかわらず、
賃料の減額ができるとされています。

ただし、借地借家法は、
一定期間賃料を増額しないという規定があった場合には、
その契約の方が優先するとしています。
やはり、借地借家法は借主の味方なのです。
以前、普通の建物賃貸借契約と
定期借家契約の比較で説明したとおり、
定期借家契約では、契約の内容が優先ですから、
定期借家契約を結ぶときには、
賃料の増減についてどういう内容になっているか
チェックしないと、
後で、賃料の減額を求めることができず、
高い賃料を継続して支払うことにもなりかねません。


←前回記事へ

2003年2月24日(月)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ