第157回
貸主とトラブルになった場合の法的手続きについて教えます。

事務所や店舗を借りるときの契約や
法律について説明してきました。
今回からは、貸主との間でトラブルになったときに
どうなるのか説明して行きます。

それでは、例えば借主が賃料を
滞納したらどうなるかについてお話します。
賃料1ヶ月滞納した場合、契約条項では、
1回でも賃料の支払を怠った場合は
契約の解除事由になっています。
しかし、第135回で説明したとおり、
たった1回では裁判上は契約の解除は認められません。

だから、1回遅れると、
賃料の支払を請求されるだけだと思います。
「遅れた分を2週間以内に支払わないと契約を解除する」
という内容証明郵便が届くかもしれませんが、
1回の遅れだけでは解除は無効です。
2回分遅れた場合は微妙ですが、
3回分遅れた場合は、契約解除は有効となります。
そこで、貸主は、賃貸借契約を解除するので、
建物を明け渡せという内容証明郵便を送ってきます。
すると、法律上は、
直ちに建物を明け渡さなければならないことになります。

契約解除した後も明け渡さない場合は、
賃料の相当額の賠償義務も発生してきます。
契約によっては、契約解除後は
賃料の1.5倍を支払うことになっている場合もあります。

でも、お金がないから、賃料の支払が遅れているわけで、
借主は新しい事務所に引っ越す費用もありません。
借主が賃料も支払わずにそのまま使っていると、
貸主としては、そんな借主はすぐに追い出したいわけです。

でも、第139回で説明したように、
ロックアウトをすると犯罪になってしまう場合もあり、
違法なのでできないわけです。
そこで、貸主は、賃料不払いによる契約解除を理由として、
事務所や店舗の明け渡しを求めて訴訟を提起してきます。


■今週の宿題■
これも読者からの質問です。
定期借家契約でない普通の建物賃貸借契約では、
貸主に正当事由がなければ契約は
法律によって更新されていくのだから、
契約に更新料が定められていても更新料を支払う必要はない。
でしょうか? ×でしょうか?

お答えをお待ちしております。


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2003年4月17日(木)

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