第234回
相続放棄は相続財産全体を確認してから判断しましょう。

昨日の宿題は
Aさんの借金1000万円について、
息子Xさんは連帯保証をしていました。
連帯保証をしている場合、
相続放棄をしても無駄なので、相続放棄をしなくてもよい。
○でしょうか? ×でしょうか?

という問題でした。
みなさん、どう考えましたか?
答えは×です。

確かに、Aさんの残した財産が
Xさんの連帯保証した借金1000万円のみで、
しかも相続人がXさんのみの場合は
Xさんは相続放棄をしても
連帯保証債務を負うことになりますから、
結果は変わりません。
だから相続放棄をしなくても良いこととなります。

しかし、借金を残して亡くなった方の場合、
他にも借金をしているのが普通です。
だから、借金はXさんの連帯保証している
1000万円だけでない可能性が高いです。
相続放棄をしないと、
Xさんの連帯保証していた
1000万円の借金以外の借金も
かぶることになってしまいます。

また、Aさんの相続人がXさんだけでなく、
Yさん、Zさんも相続人で、
Xさんのみが相続放棄して、
Yさん、Zさんが相続放棄をしなかったとします。

この場合、Xさんが連帯保証を理由に
借金を支払ったとしても、
自分の借金ではありませんから、
借金を相続したYさん、Zさんに連帯保証を理由に
支払った分を請求することができるのです。
連帯保証人が借金を支払った場合に
借主に請求できることを求償権と言います。

YさんとZさんがAさんの財産が借金だけしかないのに
相続放棄をしないことは考えにくいのですが、
Xさんが連帯保証しているから、
相続放棄しなくてもXさんが支払うから
大丈夫だと考えている場合には、
相続放棄をしないかもしれません。
また、Aさんにプラスの財産も少しあった場合には
相続放棄をしないかもしれません。
だから、必ずしも連帯保証しているからと言って、
相続放棄をしても無駄だということはないのです。

相続放棄の検討期間である3ヶ月間に、
残された財産がプラスマイナスでいくらあるのか、
放棄をした方が得なのか損なのかよく検討して、
相続放棄をするかしないかを決める必要があります。


■今日の宿題 ■
サラ金からの借金の整理をするために、
これまでの返済を利息制限法に基づいて計算して
借入額を減額するために、
支払いを止めて訴訟を起こした場合、
判決では一括払いになる。
でしょうか? ×でしょうか?

お答えをお待ちしております。


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2003年8月12日(火)

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