弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第104回
自分で遺言を書くことができる

前々回に、遺言書を作成するのであれば、
公証役場で公正証書遺言を作成するのが
普通という説明をしました。

ただし、公証役場という
あまり行ったことがない場所に行くのは嫌だし、
証人2人を探すのも大変で、
戸籍謄本や登記簿謄本を用意しなければならず、
費用もかかるので、公正証書遺言よりも
簡単な方法で作成したいという方も多いと思います。

遺言は、公証役場で作成する
公正証書遺言だけでなく、
自分で書くことができる
自筆証書遺言という方法もあります。

ただし、遺言書を自分で書く場合には、
様式が決まっていますので、
その点を注意してください。
そうでないと、せっかく書いた遺言書が
無効になってしまいます。

その要件とは、
遺言書の内容、日付、署名を
全て遺言をする人が
書かなければならないということです。
そして、遺言をする人が
印鑑を押さなければなりません。

日付が抜けても無効ですし、
パソコンなどで打って作成したものに
署名をしただけでは無効となってしまいますので、
ご注意ください。

ただ、全部自分で書けばよいだけで、
費用もかからないし、
何度も新たな遺言書を作成することができるので、
便利は便利です。

特に、「私の遺産を妻に全て相続させる」など、
簡単な遺言の場合には、
自筆で書いてもそんなに負担とはならないと思います。

このように便利な自筆証書遺言ですが、
問題もあります。
遺言書があることを誰かに伝えておき、
きちんと管理しておかないと
亡くなった後に相続人が
遺言書があることを気づかないおそれがあります。

後で改ざんされる可能性もありますし、
本当に遺言者が自分で書いたのか
争われる可能性もあります。

自分で遺言書を書いて作成する
自筆証書遺言を利用する場合には、
誰かに遺言書を委託しておいた方が
よいかもしれません。

遺言書は、自分が死んだ後に
トラブルが起きないように作成するのですから、
少々面倒で、費用がかかったとしても、
公正証書遺言にしておいた方がよいかもしれません。


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2005年10月25日(火)

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