弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第151回
新会社法で会社設立が簡単に

起業したり、
新しいビジネスを始めたりするときに、
みなさん、会社の設立を考えることでしょう。
会社設立のメリットは、
第38回第39回で説明しました。

起業促進のために、
国では、暫定的にいわゆる
1円会社の設立を認めました。
この1円会社については、
第40回第41回でお話しました。

国は、会社設立により起業を促進するために、
さらに、「新会社法」で、
会社の設立を簡単にしました。
なお、「新会社法」では、
株式会社と有限会社の区別をなくし、
株式会社で一本化されています。

具体的には、

(1)多額のお金を用意しなくても会社が作れる

これまで、会社設立の際には、
株式会社では1000万円、
有限会社では300万円の資本金が必要でした。
しかし、「新会社法」では
資本金の制限をなくして
いわゆる1円会社が正式に認められています。

これまで認められた1円会社では、
設立後5年以内に
株式会社1000万円、
有限会社300万円と
増資しなければなりませんでしたが
「新会社法」では永久に
資本金1円でもよいのです。
しかも、今までは、
銀行にお願いして(もちろん手数料も払って)、
資本金について保管証明書を出して
もらう必要がありましたが、
今後は、
残高証明書を出してもらえばよくなりました。

保管証明書は、
マネーロンダリングなど規制もあり、
銀行にとって一見のお客には
なかなか出してもらうのが難しかったので、
新規に起業し会社を設立する人にとっては、
かなり障害になっていました。
残高証明書の手数料は、
保管証明書の手数料よりも、
かなり安いです。

(2)自分1人だけで会社が作れる 

これまでは、株式会社では、
取締役3人、監査役1人が必要でした。
だから、会社を設立しようと思うと、
親類や友人など
誰か仲間になってくれる人、
あるいは名前を貸してくれる人を
探す必要がありました。

これが原因で、会社がうまく行き出してから
トラブルになることも多かったのです。
しかし、「新会社法」では、
取締役1人だけで
株式会社が作れてしまいます。
監査役も置かなくても済みます。

要するに、「新会社法」では、
会社を作るのに、
用意するお金も人も
少なくてよいこととなっているのです。

会社を作って
起業をしようとする人にとっては、
新会社法はかなりメリットのある
法律となっているのです。


←前回記事へ

2006年4月27日(木)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ