ガンを切らずに10年延命-関根 進

ベストセラー「ガンを切らずに10年延命」の著者
(元・週刊ポスト編集長)再開・新連載!

第9回
あわや、胃の巨大腫瘍は取りきれず?

今回の胃ガン手術では(図B)、
胃の腫瘍が膵臓など隣接臓器に浸潤していなければ、
ストレートに胃の幽門側3分の2を切除し、小腸と接続。
「腫瘍摘出」と「食通改善」を果たせるが、
隣接する膵臓に浸潤していれば(図A)、
胃の巨大腫瘍(幽門サイド)を残したまま、
その部位には食事がいかないよう処置して、
そのまま手をつけず、
とりあえず、胃の噴門サイド3分の1と、小腸を接合し、
「食通改善」のみを図る――というわけです。

運命を分けた、胃ガン手術 2つの選択 ※クリックで拡大

もちろん、僕は、必死で、
「腫瘍摘出」と「食通改善」の両方の手術が
果たせるように時の運にかけ、神様に祈りました。

はたして、どうだったか?
翌朝、集中治療室に顔を見せた鈴木毅医師の明るい顔つきに
まだ、麻酔の残る朦朧とした意識の中でしたが、
一瞬ほっとしました。

「関根さん、うまくいきましたよ。
胃と膵臓とはくっついておらず、胃がスルりと外れましたので、
幽門サイド3分の2を切り取り、
あの≪大きな腫瘍≫も取れました。
≪腹部のリンパ≫も廓清。
残る胃の3分の1と小腸がつながりましたから、
ま、はじめ食事の再開は大変ですが、ゆっくりやりましょう。
3ヶ月くらいで普通の食事感覚に戻れる、傷口もよくなります。」s
というではありませんか?

「これで、先ず第一段階はクリア出来たぞ。
また、しばらく生き延びれる」
鈴木医師の冷静な決断とメスさばきに感謝して、
思わず手を握り締めてしまいました。

いまごろ、あの糜爛した巨大腫瘍が腹の中に取り残され、
急速に肝臓・膵臓を蝕んでいくとすれば、
第4期のガンはまさに「末期ガン」、
「お陀仏」の道を急いだはずです。
余命半年か、急速に最悪状態に進んだことでしょう。
といっても、肝臓転移も心配されています。
これから様子を見つつ、
帯津良一博士のホリスティックな治療法に
任せることとなりました。

あまり楽観視はできません。
とりあえず、この胃ガン第4期の手術の成功で、今一度、
「次なるいのちのレベルへ登れる」幸運にありつけたようでした。

一口に胃ガンといっても、人さまざまです。
ガンを胃の全摘出をした患者さんなどは、
とくに、術後の食事が困難で、
食べるとダンピング(逆流嘔吐)したすえに、意識が朦朧とする。
ひどくなると腸ねん転まで起こすといった話も聞きます。
僕の場合、胃が3分の1でも残ったことは、食べれば、
多少の膨満感や吐き気はありますが、少しずつ
粥食から始めていますから、
苦痛もありますが、まだ良い方かも知れません。

まえに、このコラムで、僕の敬愛する外科医で、
日本初の患者相談所=キャンサーフリーとぴあを創設された、
故・土屋繁裕先生の名著
「このガン、切るべきか、切らざるべきか」(NHK出版)
を紹介し、患者の医師選択といいますか、
「手術選択の4原則」
=患者の判断条件をあげたことがありました。

「手術選択の4原則」
1.手術による効果が他の治療より優れている
2.手術で失う犠牲の大きさと、
  手術で得る延命効果が見合っている
3.根治性、安全性、機能保存で、
  バランスのよい適正な手術計画が用意されている
4.1〜3の条件について担当医が詳細に説明し、
  患者が手術に納得して同意する

そして、「患者の寂しさの分かる医師」であることが
最良の条件となるわけですが、
鈴木毅医師は、本当に患者を「壊れた機械」ではなく、
「生身のいのち」として扱うことを心する素晴らしい先生でした。

いずれにしても、助かった!
天の神様はいま少し、
僕に「ご機嫌ないのち」を与えてくれたのだと感謝しました。


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2010年12月2日(木)

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