ガンを切らずに10年延命-関根 進

ベストセラー「ガンを切らずに10年延命」の著者
(元・週刊ポスト編集長)再開・新連載!

第19回
退院、さらなる苦闘 「足のむくみ」が心配だ

前回、僕の一番頼りにしている、
山田幸子・元総婦長の温情あふれる対応が、
「彼岸(あの世)に行きかけた僕を
此岸(この世)に戻してくれた」という話を書きました。

まさにガン病棟で出会った
「如来か菩薩か」と思いたくなる一級看護師さんたちの
温情に満ちた癒しのパワーのお蔭で、
「まだまだ、とても死ぬわけにはいかん」と、
思い直す、気力と勇気と希望を僕に与えてくれました。

もちろん、人間の「いのち」の周辺には、
美談というか、「極楽」のような話ばかりではありません。
目を覆うばかりの苦しい「地獄」絵図にも溢れています。
運命の賭け違いが、どんな災難をそれぞれにもたらすか?
それは計りしれません。

いよいよ、退院の日を迎えることとなりました。
11月10日、幸運なことに、小春日和の温かい一日でした。
●彼岸より  引き戻されし 小春かな〜

親友の布袋さんが愛車を駆って、
僕とカミサンを自宅まで運んでくれました。
やはり、持つべきものは親友です。

まえにも書きましたが、ガン闘病は「生き地獄」のような苦しみに
苛まれるだけでなく、友人・知人の思わぬ温情にも気付かされ、
生きていてよかった、まだまだ生きるぞ・・・といった
「生き極楽」のような気分も味わえるものだと分かりました。
これはどんな化学薬にも勝る、治癒力を高め、
「次なるいのちのレベル」を上げる「良薬」といえるでしょう。

さて、あまり、楽天的な話ばかりしている身ではありません。
現実に、自宅に帰ってくると、
病院のように寝室が空調や暖房が
快適に保たれているわけではありません。
寒くなれば術後の傷口にすぐ反応しますし、
のちに詳しく書きますが、
栄養不足と肝機能低下による、
「足のむくみ」には、毎日、悩まされました。
これは、これから心配される肝臓転移の進行の予兆です。
まだまだ、「生き地獄」は続きます。

肝臓に異常があり、
たん白質の「アルブミン」を作る量が減ってしまう――、
すると、血管内に水分を血管内に
とどめておく力(浸透圧)が弱まってしまい、
血管から細胞外液に水分が移動してしまうために、
腹水や足のむくみ、さらに悪化すると腹水を起こし、
生命維持臓器を冒す危険に陥る――ようなのです。

一応、めでたく退院できたものの、
転移性の膵臓ガン、肝臓ガンのように
下腹部に広がった進行ガンは、リンパ系を破壊し、
また、圧迫によってリンパの流れをさまたげるわけですから、
これからは、さらに生命中心臓器に転移が早まらないように、
じっくり、向き合いつつ生きていくこととなりました。


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2010年12月12日(日)

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