ガンを切らずに10年延命-関根 進

ベストセラー「ガンを切らずに10年延命」の著者
(元・週刊ポスト編集長)再開・新連載!

第71
強欲贅沢――喉元過ぎれば熱さ忘れる

前回、僕は、食べて生きるには「おちょこ2、3杯」という
「小さな胃の持ち主」となってしまった――、
食後、むくみや倦怠感、目まい、動悸、倦怠感、眠気に、
日々悩まされたことは、すでにレポートした通りです。
これは「胃切除後後遺症」で、結構、苦しいものです。

当然の術後のダメージなわけですが、考えようによっては、
別に宗教的に哲学的に高邁に悟ることなどなく、
「ガンさん」は70歳を超えた「ガン爺」に、
一気に「少欲知足」の有難い知恵を
≪腹の中≫で直感体感的に授けてくれた――
ことになったわけです。

それでも、人間って本当に「業が深い」といいますか、
「罪深い」「欲が深い」といいますか、
ホンマに「少欲知足」が分かったかい?
死生観に覚悟を決ったのかい?と問われれば、
そのあたりは、なかなか難しい心境なのですね。

僕は、逆に、「体」そのものを通じて、
「少欲知足」を知らされた分、
むしろ、「心」の領域では、
昔以上に深く、いのちへの執着、強欲、贅沢心が、むくむくと
頭を持ち上げて来たことは確かだと思っています。

おそらく、「少欲知足」の反対語は
「大欲」「強欲」「贅沢」なのでしょうが、
人間本来の姿が「強欲贅沢」なのでしょうね。
「喉元過ぎれば熱さ忘れる」という諺がありますが、
人間の覚悟や記憶ぐらいいい加減なものはありません。

100日前の手術にしても、
突然、胃の下半分に巨大に糜爛した腫瘍が出来、
食べ物が通らなくなった結果、
「これでは生きられん」「なんとか助けてください」と、
危急の解決法として、胃の2/3を切除。
すでに肝臓や腹部リンパには転移した、
いわゆる「末期ガン」「余命半年」状態から、
幸いにも膵臓を傷つけることなく済んだのは、
主治医の技量のお蔭であり、
また縁も運もよかったともいえましょう。

それにしても、
あのときの食通不能、嘔吐の苦しみと精神的ショックは、
いまからもい出しても相当のモノでした。

しかし、術後100日のいま、どうでしょう?
●小さき胃が 腹に教える 少欲知足〜
などと、したり顔の游息川柳をしたためながらも、
一方で、「ちょこちょこ食い」をしながら、
術前の「食通不能」のどん底の苦しみを
忘れかけて贅沢を言っている。
「なんとか、もっと腹いっぱい美味しいものを食いたいものだ」
「食後の嘔吐感はなんとかならないか」と
心の底が、ぶつぶつと
不平不満をいっていることも間違いありません。

(次回に続きます)


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2011年2月2日(水)

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