杉浦秀子さんが掘り起こしてくれる
日常に埋もれた美のヒント

第37回
百円もやし事件

人は他人と比べて自分の幸福を測ります。
先日、母が近所のスーパーに行った時の話です。
「あら、お宅は百円のもやしを買うのね。
うちは、そんな高いもやしは買えないわ。
35円のもやしで充分よ」
と言われて、
「この歳になっても、人付き合いは本当に難しく、疲れる」
とうなだれていました。
私の家は日本の平均的なサラリーマン家庭ですが、
百円のもやしを買う程度の余裕はあります。
それでも、近所のおばさんは私の家が自分の家より
高いもやしを買うことが気になるのです。
35円のもやしより、百円もやしのほうがはるかに、
しゃきしゃきして美味しいことを知らないのでしょうか。
一度食べたら止められません。
このご時世、もやしくらいは贅沢させてもらいたいもんです。
私は人間が、もやし一つでも幸福を測る尺度になることを発見し、
この出来事を「百円もやし事件」と名付けました。

とにかく、世の中には
人のことが気になって仕方がない人が大勢います。
もやしだけではありません。
他の女性の持っている、バックや靴、服やアクセサリー、
旦那様の会社や役職、持ち家か借家か、
そして借家の家賃に至るまで、
なんでも自分と比較したがる人がいます。
それは、百円もやし事件と本質的に変わりません。
バック事件、靴事件、服事件に、アクセサリー事件、
旦那格付け事件、持ち家事件と、
日常生活はこんな事件ばかりです。

一方、他人の値踏みに対して嫌悪感をもつ人もいます。
あまり過敏に反応してしまうと、人間嫌いにもなってしまい、
すいすいと世の中を渡っていくこともできなくなってしまいます。
では、どうしたらいいのでしょうか。
結局、「人のふり見て我がふり直せ」
という所に落ち着くと思います。
元々、この世の中に自分と全く同じ人などいません。
他人との比較ではなく、違いを見つけることも、
また面白いと思いませんか。


←前回記事へ 2003年7月22日(火) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ