杉浦秀子さんが掘り起こしてくれる
日常に埋もれた美のヒント

第48回
お父さんはいつもワンパターン

私が幼い頃、父は会社から帰るときに、
「今日の晩御飯はなーに?」
と電話をしてきました。
私は幼いながらにも、
「うちの父親はいつも同じ質問しかしないけど、
他に何か聞きたいことはないのかな」
と考えていました。
けれど、この質問が今の私の幸せの原点となっています。
家族でご飯を食べる時が一番幸せな時間なのです。

今は個食が増えています。
小さな時から塾にも通わなくてはなりませんし、
共働きも増えていますので、夫婦であっても
なかなか同じ時間に
夕食をとることができなくなっています。
学校での出来事や、世間話をしながら話をする
という機会が減っていると思います。
家族の対話がなくなってしまったら、
何のために同じ家に住んでいるのか
わからないではないですか。
厳しい社会で生きていく上で、
家族がお互いを支えあう存在であったのなら、
険しい障害の壁も壊すことができると思いませんか。

母が父親に料理を作っていたのも、
当たり前のことですが、心休まります。
女性が男性に料理を作る、という行為そのものに
いとおしい愛着を感じませんか。
たとえそれが、刺身定食のような
手の殆どかかっていないメニューであっても、
カレーライスに、サラダだけであっても、
いとおしさは変わりません。
TVでも見ながら、
「六本木ヒルズはすごい人だねえ」
などと意味のないことを話しながら食事をしたいのです。
時代と共に変化することもあるけれど、
女性が男性に食事を作るということは、
愛情の表現方法であることに変わりはないと思います。
「今日の晩御飯はなーに?」
という父のワンパターンな質問も、
なかなかいかしていると思いませんか。


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