第50回
お探しの心は何ですか
この世で一番恐い感情は何だと思いますか。
以前の私でしたら、嫉妬や嫌悪といった、
負の感情を挙げていたと思います。
けれど、この執筆を始めて変わりました。
人間にとって、一番恐い感情は、「無関心」です。
私は、ブランドのバックのことについて
書こうとしていました。
NYを歩いていると、日本の女性は
ブランドのバックを持っているからすぐに分かる、
というようなことから書き出し、
ブランドのバックを持ちたい人は持てばいいし、
そうでない人は別に持たなくてもいいんじゃないの
ということを書こうとしていました。
けれど、イマイチしっくりこない。
何故か。
私自身にブランドのバックに関して、
全く興味がなかったのです。
そこに、
「ブランドのバックはこういうところが素晴らしい!」とか、
「ただゴロマークが入っているだけで、
あんなに高いなんてケシカラン!」
という正の感情、負の感情共に、心の動きがあれば、
すらすらと文章が出てきたとおもいます。
さんざんこねくり回した後、
無意味な結論しか出ずに、
「一体何が言いたいのか」ということが、
全くハッキリしなかったのです。
そのとき、初めて「無関心」を恐さを知りました。
本屋さんで雑誌などの立ち読みしていると、
「女性が若く、美しくなるには色々なことに関心
を持つことが大切です」
と必ず書いてあります。
その時私は、「サルでも分かる、美人方法」
と軽い気持ちで読み飛ばしていました。
けれど、実際に無関心は恐いのです。
私自身、嫉妬や嫌悪という感情を剥き出しにした文が
苦手で、読むのも、書くのも避けてはいるのですが、
感情が動いた、という点では無関心な人が書いた文より
優れているのではないかと思い始めたのです。
これは、執筆をして初めて私が経験したことです。
もし、「心の店」があって、
店員さんに、「お探しのものは何ですか」と聞かれたら、
「無関心以外の心」と私は答えるでしょう。
正の感情も大切ですが、負の感情も同じように大切なのです。
女性は、あまり気が多いのも困りますが、
いつまでも、心の動きを感じて生きるために、
無関心なことは少ない方がいいと思いませんか。
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