杉浦秀子さんが掘り起こしてくれる
日常に埋もれた美のヒント

第71回
旅行に行くのが恐い

「旅行に行くのが恐い」
突然母から電話がありました。
私は暫く母の話を聞くことにしました。
全く論理的でない、母の話を要約すると
次のようになります。
「自分は何十年とOLをやってきて、
家と会社の往復ばかりしてきた。
だから、趣味という趣味も無く、友達も多いほうではない。
これから退職をするから、
家の近くでおしゃべり友達をつくりたい。
そこで、女性8人の旅行に誘われて、行くことになった。
けれど、自分は女性の団体行動に全く慣れていないので、
旅行に行くのに今から緊張している。
もっとはっきり言ってしまえば、
旅行に行くのが恐い」
一先ず、危ない精神状態でないことを確認して、言いました。
「慣れていないことをするのも練習だから、
気合を入れて行ってみたらいいと思うけど。
私の執筆の「取材」だと思って、
同世代の人の話を聞いてきて」
母は、「取材」という言葉に触手が動いたようです。
「何をポイントにすればいいのかしらん」
ゲンキンな質問を切り返してきました。
「感じたことをそのまま私に教えてくれればいいけど」
私のそっけない答えに不満そうでしたが、
母は新聞記者の気分で旅行に行くことになりました。

しかし、旅行から帰っても母から電話がありません。
私は自分から母に電話を入れました。
「旅行はどうだったの」
母の様子はイマイチぱっとしません。
「話す内容は、遺産相続、病気と孫の話しかなかった。
だから、あなたに話すことなど何もない」
と言うのです。
女性は男性に比べると、
自分の身の回りの話が中心になります。
年齢を重ねるとその傾向はさらに強まるようです。

旅行は日常生活をリフレッシュする機会です。
体験型にお金を使うようになってきていますので、
これから旅行は今以上に盛んになると思います。
私は旅行に一緒にいくのは、
「話をしなくても、楽しいと感じる人」
と行くのが一番よいと思っています。
新しい街をみたりして、五感をフルに働かせて
行動するためには、
おしゃべりばかりに気を取られている訳にはいかないからです。
私は母を連れてあちこちに
取材旅行に連れていっったらおもしろいことになりそう
と思い始めています。
どんな人と一緒に旅行するのか、
というのもこれから年齢を重ねていくうえで
大切なことかもしれません。


←前回記事へ 2003年9月8日(月) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ