杉浦秀子さんが掘り起こしてくれる
日常に埋もれた美のヒント

第110回
孤独

孤独を感じるときはありませんか。
私は新宿などの人ごみの多いネオン街を歩いていると
街の華やかさと自分の心の中の空虚さを比べ、
孤独を強く感じます。
私は随分と大人になってから上京したために、
友達が全くいない状況を、
大人になってから体験しました。
全く違う土地に行く、ということは
知人が全く居ない所にいくということです。
これだけ、情報伝達機器が発達しているのに、
近くに心を許して話す人がいない、
というのはとても辛いことです。

しかし、私はこの「孤独」な時期に
随分自分と向き合いました。
上京する前の私は普通に友達と飲み屋で、
仕事の愚痴を言ったり、適当に騒いだりしながら
憂さ晴らしをして、時間に流されていたのです。
今までの他人に対しての自分の態度、
何をやって生きて行きたいのか、
どんな女性、人間になりたいのか、
自問自答していました。
その答えは他人が与えてくれるものではありません。
一人一人が、答えを見つける他はないと思いませんか。
「孤独」はそういった時間を与えてくれるのです。

私の家の近くには小さな公園があります。
ビル街に囲まれた、その小さなオアシスで
一人暮らしのお婆ちゃんと思われる人たちが
多く散歩しています。
先進国の社会の歪みの一つは「孤独」でもあると、
嫌でも考えさせられます。
今年の欧州の猛暑で、フランスの一人暮らしの方が
多く亡くなった時にも「孤独死」が随分と問題になりました。

「孤独」にならなければ、
他人の存在のありがたさにも気が付きません。
私は一人になって、初めて人を大切にする、
ということの重要性を感じました。
女性が美しく年輪を重ねてゆくうえで、
「孤独」は誰でも必ず対面する時期があると思います。
その時に、自分自身と向き合うことだけは
逃げてはいけない課題です。


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2003年10月31日(金)

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