第112回
弱点を知っている女性が好きです
人は全てのことができる訳ではありません。
若い頃、私は自分は何でもできる可能性があると
傲慢に錯覚していました。
日本は、若いというだけで、
異性から賞賛の言葉を得ることができます。
私も、大学を出たての頃、
「どうして世の中の男性は必要以上に
女の子にちやほやするのだろう」
と感じました。
「若い」という賞賛を、自分勝手に「能力がある」
と勘違いしていただけです。
「自分は何でも出来る錯覚」は、
自分が裸の王様だったということです。
しかし、数年も経たないうちに若い女の子が入ってきて、
意味もなくちやほやされることがなくなりました。
もしかしたら、その時に初めて、
「自分の本当の姿」を知ったのかもしれません。
私は、
「決められたことを、決められたようにすることができない」
「決められたことに疑問ばかり持つ」
短所があるのです。
ですから、看護婦さんのような仕事には絶対に向いていません。
きっと、間違った薬を患者さんに渡すようなミスをするのです。
ある著名な翻訳家の女性と話をしていた時のことです。
「私はこうやって、一人で静かに仕事をすることが向いているの。
それに、ライターのような無から何かを
作り出すということは苦手で、自分には向いていないわ。
勉強することが好きで、
事務的なこともそこそこ好き、
翻訳は全くの創造活動ではないのが良くて、
下地があって、そこから創造するというのが
自分に向いているの」
と自分の弱点をしっかりと把握し、
それをきちんと認めた上で、
逆に「自分に出来るもの」を明確にしています。
「自分に出来るもの」は勿論のこと、
「出来ないこと」も個性だと思いませんか。
私は自分の弱点を
他人に素直に話すことの出来る女性が好きになりました。
「すごい女性だ」という警戒心がなくなったからです。
弱点と強みは表裏一体です。
女性が、どんな生き方をしたいのか、
と考える時に、「どんなことが出来るか」
とばかり考えるのではなく、
「どんなことが嫌いか、苦手か」
ということを考えたことのある経験は、
女性を豊かにすると思います。
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