第125回
女性の雷様は何処に落ちる?
私は以前、「怒り」という感情を
人前で曝すことを極力抑えていました。
それは、どうしてもヒステリックな印象を
他人に対して与えてしまうからです。
いくら不当な扱いをされても、
「そんなことには動じていないのよ」
という振りをしていました。
一度でもお勤めをした人なら分かると思いますが、
組織で働く女性が人前でキーキー怒るのは美しくありません。
怒りを上手に抑えられない人を見て、
これは「人災」だと考えていました。
反対に怒りを上手に処理している女性を見て、
ああいう女性になれたら、知的だなと憧れていました。
自分もそういう、知的な女性になりたかったのです。
しかし、今思うと「怒り」
という感情の処理の仕方を知りませんでした。
ある日突然、右耳が聞こえなくなったことがあります。
ヒステリーな声が右から聞こえてくるので、
身体が受け付けなくなったという訳です。
この時は焦りました。
私は「怒り」という感情を持て余してしまったのです。
人は自然な感情として、
「怒り」をもっているのにも拘わらず、
それを正面から見ないということは、
何か歪んだ形で膿として出てきます。
「怒り」の雷を何処で落とすのか、
ということは人が自然に生きて行くために
大切なことであるということにその時に気付きました。
これだけ都会でカフェが流行ったのも、
男性の一杯飲み屋の役割を
カフェが果たしている、ということもあるのです。
働く女性が家路に着く前にカフェで一旦感情を整えるために、
一服しているというのが実情だと思います。
小さな怒りはそれで収まるかもしれません。
けれど、怒りは溜まるのです。
それをどうやって健全な形で外に吐き出し、
すっきりさせるのか、というのはとても大切なことだと
思いませんか。
女性が年齢を重ねるということは、
「怒り」の雷様を落とす、
時と場所を選ぶということでもありそう。
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