杉浦秀子さんが掘り起こしてくれる
日常に埋もれた美のヒント

第127回
森先生、チャック開いてます

随分前のCMで京大元教授で数学者の森毅先生が、
「森先生、チャック開いてます」というオチのCMがありました。
森毅さんもマイ・ブームの時期があり、
かなり影響を受けています。
どうも私は、音楽も、文筆も現在70歳以上の人にはまってしまう
傾向があるように感じています。
色々な経験が濾過された美しさに惹かれているのかも。

森先生の美学は「すれすれが美しい」です。
学校が大嫌いで、自分の好きな本を家に引きこもって
読んでいたらしい。でも、留年するほどは休まない。
一週間学校を休んだことがきっかけで、
登校拒否になってしまうような感じではないのです。
「適当の匙加減」が天才的なところが面白い。
大学教授の時は、元祖キム拓のような髪型で、ジーパン姿。
自由業のような格好をしていらした。
CMにも出て、タレント活動をしたり、
執筆も数学者的な内容ではなく、コラム。
けれど大学を退官した後は、「フリーター」の自由業になったから
背広にネクタイをキチンとした恰好に変えたというのです。
硬い所に居ながら、不良。柔らかい所に移ったときは、真面目。
その場所を適当に浮遊しながら、色々な業界を見るのが
好きな様子が伝わってきます。

女性が生きてゆくにも、応用できると思いませんか。
私など真面目すぎる所があります。
それを相手に強要したりして、
自分を苦しめたりしていることが多いのです。
「私だったらこうするのに」
「普通はこう考えるけど、あの人はちょっと感覚がおかしい」
などと他人を非難してしまいがちです。
よくよく考えると、元々人は自分の思うように動いてくれません。
母と話していても感じるのですが、
「絶対にこういう状態でなければならない」
という呪縛を自分で作ってしまいがちです。
作家でありながら起業家の邱先生の様に、
もっと自分の呪縛をとっぱらい、
「すれすれ」気分を味わうことができたら、スリリング。
女性でありながら、男性的な仕事も楽しんでしまう、
家庭がありながらも、家庭崩壊しない程度に別世界に
足を突っ込むなんていうのも、なかなかオツなもの。


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