第129回
後悔の少ない女性は美しい?
何かをした時の後悔と、
それをしなかった時の後悔。
皆さんはどちらの後悔が多いですか?
私は圧倒的に「何かをしなかった時の後悔」
の方が多いと感じています。
NYに30年以上住んでいる
ピアニストと話していた時のことです。
「この業界にずっと居る人は、異常に好きか、
それしかできないかのどちらかだね」
とぽろりと話をされたのがとても印象に残りました。
確かに音楽業界は水物で、10年前の顔ぶれと今とでは
殆ど違うと言われています。
それ程厳しい業界である、ということです。
また、ピアニストは他の楽器に比べてやることが多いので、
この業界で活躍し続けている人はプライベートの時間は
音楽を聴いているか、ピアノの前に座っているか
どちらかだとも言われています。
私は少し悩んでいました。
「音楽だけをやって行くには色々なことに興味がありすぎる」
と感じているからです。
よく、スタイルの研究をする時にも
男性は「この人だ」と決めると恐ろしい程に
一人の音楽家の音楽理論など研究をします。
一方、女性は「この人も良い、あの人も良い」
とつまみ食いをし過ぎて
収集がつかなくなってしまうことが多いのです。
私はもっと収集がつかなくなりそうで恐くなりました。
私は名古屋の師匠に電話を入れました。
「音楽を続けるのが辛い」というようなことを話しました。
すると、「あなた、後悔をするわよ」とおっしゃいました。
その一言で、私はスッキリしたのです。
私は頭の一番柔らかい学生時代にバイトに明け暮れて、
音楽に向かい合わなかったことを悔やんでいます。
たとえ道楽のようなものであっても、
続けるというのはとても辛い時期があります。
しかし、学生時代に「やらなかったこと」
に非常に後悔していた自分を
名古屋の師匠は思い出させてくれたのです。
確かに私は「やったこと」に後悔をしていません。
「やらなかったこと」に後悔をしているのです。
「やめてしまったら」、出来なくなって「やらなかった」と
同じ事になってしまう可能性があるのです。
女性が年齢を重ねてゆく上で、
色々な後悔をしながら生きてゆくと思います。
もし私が年老いて過去を振り返ったときに、
「やらなかったこと」の後悔が少ないほど、
充実した人生だったと思うのです。
よく「私は何々があったからできなかった」という人がいますが、
そんな愚痴を聞きたいと思う若い人はいません。
きっとそういう後悔の少ない女性のほうが、
次の世代の人から見ても魅力的。
後悔の少ない女性は美しいと思いませんか。
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