杉浦秀子さんが掘り起こしてくれる
日常に埋もれた美のヒント

第133回
涙の雫

私はこの間、自分でも理解できない時に、突然涙を流しました。
瀬戸内寂聴さんがTV画面に出ており、
何気なく話を聞いていただけの時です。
「姉は私の事が大好きで、私も姉を大変慕っておりました。」
という言葉を聞いた途端に、涙が止まらなくなったのです。
自分が如何して泣いているのか、分かりませんでした。
確かに妹のことは好きで、大切にしています。
姉妹を思いやる気持ちの暖かさが心に届いたのでしょうか。

私は感情の流れに身を任せて、泣きたいだけ泣いてみました。
しばらくすると、涙は止まりました。
そして少し驚いたことに、心は軽く成っていました。
雨上がりの青い空の様に。
きっと、私は泣きたかったのです。
繰り返される毎日に少し疲れていたのでしょう。
上手く行かない現実や、夢に焦っていたのかも知れません。
とにかく、堰を切った様に流した涙で自分が癒されたのです。

皆さんにもこのような経験は有りませんか?
ちょっとしたキッカケで
涙が止まらなくなってしまうというようなこと。
大抵は一人で部屋に居る夜に、こんなことが起こりそうです。
「ああ、疲れた。このままで大丈夫なのかな。
上手く抜け道は見つからないのかな。」
などと日中に一人で自問自答しているような時に、
夜に涙の雫となって複雑な心境が現れるのです。

少女から大人の女性になる時に、
女性は涙を流す時が変わると思いませんか。
少女の涙は白昼でも許されます。
上司に叱られたと言っては人前で泣き、
自分の正当性を涙で訴えることも出来るかも知れません。
「涙は女の武器」を地で行くことが出来ます。
しかし、大人の女性が昼に泣くことができるのは、
「泣いても当然」だという条件がある場合だけです。
もし、人知れず涙を流すことが多くなれば、
それは大人に成ったということでもあると思いませんか。
涙の意味も年齢と共に変化して行きます。
大人の女性は、もっと心の奥の深い所で泣いてしまうのです。


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