第136回
口説き文句は、「寂しがり屋さん?」
今、私たちに足らないのは、愛情ではないでしょうか。
ペット業界がこれだけ繁盛しているのも、
人が皆寂しいからだと思います。
核家族化が進んで、人との関係は希薄に成っています。
私のように社会の片隅で忙しい人々を
客観視している様な者からすると、
大都会の人々は自分の悩みだけを
見つめて四苦八苦しているように感じます。
その状態の善悪はともかくとして、
孤独な心を満たしてくれるのは、
ペットであるというのが現状であると思います。
実家で犬を飼って初めて分かったのですが、
犬は喜びを全身で表現します。
久しぶりに帰省すると、私のような人間にも
「会いたかった、ワン!、ワン!」
という感極まった様子で遠くから駆け寄ってきます。
いくら大恋愛中の恋人だって、年がら年中
犬の様に「会いたかった、ワン!、ワン!」と
駆け寄って求愛されることは、まず有りません。
親が子供に与える無償の愛情のような愛を
大人同士の愛から得ることは殆ど不可能です。
お母さんが自分の赤ちゃんを見て微笑む笑顔に勝る
愛情など無いのですから。
その愛情に少し近いのが、
ペットから得られる愛情だと思うことが有ります。
「君って、寂しがり屋さん?」
という口説き文句を武器にしている男性が居ると聞きました。
あっぱれです。
人間は100パーセント、寂しがり屋さんで
特にパートナーが居なければ、もっと寂しいのです。
愛情を異性から得るのも、ペットから得るのも人それぞれ。
けれど、その目に見えない愛情は人の心を満たし、
生きてゆく活力になります。
あるがままの素の自分を受け入れてくれる人や
動物が居るだけで、人は随分安心して生きて行けます。
この愛情を得ている女性と話すと、
私は自分まで幸福になるような、
静かな安心感を得ることがあります。
「君って、寂しがり屋さん?」という口説き文句を
乱発する男性だけは上手くかわして、
ワンちゃんの愛情を受けるのも良いもんです。
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