杉浦秀子さんが掘り起こしてくれる
日常に埋もれた美のヒント

第165回
CM「世の中、馬鹿が多くて疲れません?」

ある時、家の雑誌をぺらぺら捲っていたら、
天才コピーライターの仲畑貴志さんが、
「世の中、馬鹿が多くて疲れません?」
というコピーを書いて
10年以上も前に大ヒットさせたという記事が有りました。
私は得意の桂三枝さんの様に
椅子からひっくり返りそうになりました。
いやいやひっくり返るどころか、
その後転がりそうになりました。
流石に、仲畑さんは天才です。
色々な人の仕事の愚痴を聞いていると、
殆どがこのコピーに集約されたものばかりだからです。
自分の周囲の人間が、なかなか思うように働いてくれない。
そう言った現状をずばり言い当てています。
一億総評論家に成った日本。
もう誰もかしこも、ああでも無い、こうでも無い、と批評ばかり。
実際にやるのと、批評するのとは全く違う事なのに。

雑誌の仕事をしている、知り合いの男性美容員の話です。
たいていメーク室で話しているのは、
「あの子って、使えないのよねー」
という愚痴ばかりということ。
そういう愚痴相談も大切な仕事だと言うのです。
じっくりその女の子の愚痴を聞いて、
「まだ入ったばっかりだから、
上達するまで少し待ってあげたら?」
「その子がちゃんと話を聞いてくれる様にやさしく接して、
その後で言うことを言った方がいいんじゃない?」
とアドバイスすると言うのです。
「美容の仕事もさることながら、
カウンセリング能力も無いとこの職場は務まりません。」
もしかしたら、巷のカウンセラーより能力が高いのかも?

「世の中、馬鹿が多くて疲れません?」
というコピーが大ヒットする今の世の中は
きっと問題と不満だらけの世の中なのでしょう。
しかし、私達は問題や不満を解決させる為に生きている、
とも言えます。
でなければ、やる事が無くなってしまうでは無いですか!
それに、全く問題のない国や会社などの組織、
家族など、実際にあるのでしょうか。
魅力的な人は、
こうした問題や不満を何度もクリアーしてきた経験を、
次の世代の人にさり気なく教える能力を
持った人ではないでしょうか。
私はそういう女性に会うと素直に年を取るのも悪くないな
と感じます。


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