やがて本気で好きになります

第9回
ソニー・ロリンズの『サキソフォン・コロッサス』

前回で、入門者向けにセレクトした5枚の中から、
1枚ずつ聴きどころや特徴を紹介してゆこうと思います。

まずは、テナーサックス奏者、ソニー・ロリンズの
『サキソフォン・コロッサス』から。

このアルバムの良いところは、
入門者が何の予備知識なしに聴いても、
気軽に楽しくアルバムの世界に入り込めるうえに、
ベテランが聴いても、
「うーん、やっぱり、凄い!素晴らしい!」
と唸るポイントが数多くあることです。

豪放で男性的なテナーサックスを吹くソニー・ロリンズ。
次々と繰り出されるイマジネーション豊かなフレーズ。
ところどころにユーモアも散りばめられた演奏。
このアルバムには、
ソニー・ロリンズというサックス奏者の魅力が、
いや、
モダンジャズのおいしいエッセンスが凝縮されている
と言っても過言ではありません。

たとえば、1曲目の《セント・トーマス》の陽気で明るいメロディ。
最初に出てくるドンドコしたドラム、
これはカリプソというリズムですが、
なんだか楽しいことが始まりそうで、ワクワクしてきますね。

冒頭の1曲でツカミはバッチリ。
2曲目の《あなたは恋を知らない》では、
一転してハードボイルドな雰囲気を漂わせた
硬派なバラード表現を見せます。

さらに4曲目の《モリタート》。
この演奏でロリンズのファンになった人は数知れず。

ベテランの唸る演奏といえば、
なんといっても3曲目と5曲目でしょう。
かなりシリアスな演奏ですが、この演奏はよく聴くと、
ロリンズも凄いですが、ダグ・ワトキンスのベースが良いのです。

もっとも、初心者にベースの音までよく聴けとまでは言いません。
まずは、ロリンズのテナーの魅力を存分に堪能してください。

以上、ざっくりと
『サキソフォン・コロッサス』の魅力をお伝えしましたが、
まだまだ書ききれないほど、
たくさんの魅力を兼ね備えたアルバムです。
毎日聴いても飽きないほどの
親しみやすさと奥の深さを兼ね備えていますので、
是非、愛聴盤の1枚にくわえてください。

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『サキソフォン・コロッサス』
ソニー・ロリンズ

1.セント・トーマス
2.ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ
3.ストロード・ロード
4.モリタート
5.ブルー・セヴン


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2005年9月9日(金)

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