やがて本気で好きになります

第10回
ビル・エヴァンスの『ワルツ・フォー・デビー』

入門者向けの5枚のうち、
今回はピアノトリオの名作を紹介したいと思います。
ピアノ、ベース、ドラムという、
ピアノトリオというフォーマット(編成)です。

ピアノトリオは、日本人には最も親しまれているフォーマットで、
本国アメリカと比べると、
格段にピアノトリオのアルバムが売れているようです。

これは、日本の“狭くて大きな音で再生できない”という
住宅事情も関係しているのかもしれませんが、
とにかく、日本人のピアノ人気は尋常ならざるものがあります。
数々の日本企画のピアノアルバムが出ているほどですから。

その多くのジャズピアノのアルバムで、
おそらく知名度も人気も
ベスト1になるんじゃないかというほどのアルバムが、
ビル・エヴァンスの『ワルツ・フォー・デビー』なのです。

ニューヨークの『ヴィレッジ・ヴァンガード』という
ジャズクラブで行われたライブ演奏です。

散漫な拍手やお喋りが聞こえます。
お客さんの数は多くはなさそうです。
グラスや食器の音も聞こえてきます。

しかし、逆にそれらの要素が
良い意味でムード作りに一役買っています。
これらのノイズも音楽の一部となっているのです。

くつろいだ雰囲気の店内で、
ビル・エヴァンスは
信じられないくらい美しいピアノを奏でています。

《マイ・フーリッシュ・ハート》の静かに、
フワッと、いつの間にか始まる、ちょっとはにかんだようなピアノ。
そして、少し間を空けて追いかけるように
静かにシャーン!と澄んだ音を奏でるシンバル。
この一瞬だけで、リスナーを至福のひとときへと誘います。

続くタイトル曲
《ワルツ・フォー・デビー》の愛らしい旋律といったら!

最初の2曲だけでも、もうあなたの耳は、
エヴァンスの虜になっているのではないでしょうか?

初心者の耳に優しいアルバムですが、
ジャズの「通」にも人気な『ワルツ・フォー・デビー』。
ジャズに限らず、初心者受けするものは、
往々にしてマニアからは敬遠されがちなものなのですが、
このアルバムは例外です。

とにもかくにも、
まずは、ひたすらピアノと雰囲気に浸ってください。

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『ワルツ・フォー・デビー』
ビル・エヴァンス

1.マイ・フーリッシュ・ハート
2.ワルツ・フォー・デビイ (テイク2)
3.デトゥアー・アヘッド (テイク2)
4.マイ・ロマンス (テイク1)
5.サム・アザー・タイム
6.マイルストーンズ
7.ワルツ・フォー・デビイ (テイク1)
8.デトゥアー・アヘッド (テイク1)
9.マイ・ロマンス (テイク2)
10.ポーギー (アイ・ラヴ・ユー・ポーギー)


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2005年9月12日(月)

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