やがて本気で好きになります

第11回
熱狂の嵐!『バードランドの夜 vol.1』

今回もライブ盤の紹介です。

スタジオと、ライブの演奏の違いはなんでしょう?
私は、「熱気・勢い」だと思います。

スタジオ録音は、やり直しが可能な分、
演奏のクオリティを追求出来ますが、
そのぶん、勢いが失せてしまうこともあります(もちろん
熱気に満ちたスタジオ録音の演奏もたくさんありますが…)。

反対に、ライブ録音は
ミスをしても録り直しがきかないというリスクを背負っている反面、
会場の熱気や、勢いづいた演奏を、
商品としてリスナーに届けられるメリットがあります。

さて、このアルバムは、
史上はじめてジャズ・クラブで録音されたアルバムです。
それまでは、狭いライブハウスの中に、
重たい機材を持ち込んで
録音しようなどと考える人はいなかったからです。
加えて、性能の良いテープレコーダーも開発されていなかった。

それと、先述したように、
演奏のミスや荒さを商品化してしまうことへの
懸念もあったのですね。
「荒い演奏を商品化してどうする?
ライブはライブ。レコードはレコード」
という考えです。

私が最初に聴く5枚の中から、このアルバムを外せなかった理由は、
熱気と勢いを感じていただきたかったからなのです。
これらは、ジャズにおいては非常に大切な要素です。

この熱気を作り出しているのが、アート・ブレイキーのドラミング。
こんなにパワフルなドラムを背後で叩かれたら、
メンバーは熱くならざるを得ません。
フロントの管楽器奏者、トランペットのクリフォード・ブラウンも、
アルトサックスのルー・ドナルドソンも、
まるでブレイキーに煽られるように、熱い演奏を繰り出しています。

アルバム冒頭にアナウンスされる、このライブハウスの名物司会者、
ピー・ウィー・マーケットのMCも、
当時のニューヨークの夜の空気と喧騒、
熱気をそのまま現代に伝えているかのようです。

とにかく、難しいことは考えず、
熱気、スリル、パワーをお楽しみください。出来れば大音量で。

ちなみに、このアルバムは、続編としてVol.2も出ています。
『2』のほうも『1』と負けず劣らずの内容なので、
『1』を気に入られた方は、是非『2』も耳を通してみてください。

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『バードランドの夜 Vol.1』
アート・ブレイキー

1.スプリット・キック
2.ワンス・イン・ア・ホワイル
3.クイックシルヴァー
4.チュニジアの夜
5.メイリー


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2005年9月14日(水)

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