やがて本気で好きになります

第19回
「アドリブ」とは?(1)〜コーラスについて

ジャズは即興重視の音楽だが、すべてが即興ではない。
曲の最初と最後は「テーマ」と呼ばれる
“既に作曲されたメロディ”を演奏するのだ、
という解説を前回しました。

今回は、即興の部分、つまり「アドリブ」の解説です。

「アドリブ」の語源は、ラテン語で、
ad libitum(自由に)からきています。

本来はクラシックの用語でした。
「譜面と異なる演奏すべて」という意味です。

クラシックというと、譜面にガンジガラメな印象が強いですが、
昔は即興演奏も頻繁に行われていたようですね。
余談ですが、ベートーベンは、
作曲家として後世に名を残していますが、
当時の彼は、むしろスゴ腕の即興演奏家として、
モーツアルトの弟子たちを次々とやっつけていたらしいです。

さて、ジャズの「アドリブ」ですが、
一般的には「テーマ」が終わった後に、
ジャズマンが奏でる即興演奏のことを指します。

即興といっても、
なにからなにまで自由に演奏するわけではなく
(そのような演奏もありますが)、
一定のルールに則って行います。

ルールは大きく2つあります。

ひとつは長さ。
ひとつはコード進行です。

今回は、長さ、つまり、演奏する小節数について解説しましょう。

いくら「自由」とはいえ、
「気分が乗らないから、今日は3小節だけ吹いてオシマイ」
というのはNGです。
せめて1コーラス、いや半コーラスは吹いてもらわないと。

では、「コーラス」とは何かというと、
歌で言うところの、「1番・2番」で考えてもらうと
分かりやすいと思います。

《桃太郎さん》という歌の場合、
♪もーもたろさん
から、
♪ひとつ私にくださいな
までが、1コーラスです。

先日引き合いに出した《枯葉》の場合、
「テーマ」は、32小節の長さの曲なので、
「1コーラス」は32小節です。

ジャズで演奏される曲は32小節の曲が多いですが、
テーマの長さによって「コーラス」の小節数は変わるわけで、
テーマが24小節の曲の場合は、24小節が「1コーラス」、
12小節の場合は12小節が「1コーラス」となるわけです。

「コーラス」はアドリブを行う上での長さの単位となるのです。

アドリブは、「コーラス」の小節の倍数分行わなくてはなりません。
《枯葉》だと、32、64、96…小節といった具合にです。

もちろん、32小節の半分の長さ、16小節だけアドリブして、
残りの16小節は他の奏者に回すというやり方もありますが
(特にLPが登場する前の、
収録時間が3分前後しかないSP時代のジャズに多い)、
この16小節という単位も「半コーラス」として考えられるわけで、
結局ジャズマンがアドリブをとる長さは、
コーラスの小節の倍数小節を演奏するわけですね。

ジャズマンは、自分がアドリブを行う時間を念頭に入れながら、
即興演奏を行う必要があるのです。

さあ、次回は、コード進行についての解説に移りたいと思います。

(つづく)


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2005年10月3日(月)

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