やがて本気で好きになります

第23回
ダテから入って、ツウになった!?
(私がジャズを聴き始めたキッカケ・その1)

「ジャズは見栄で聴け」。

こう主張するマスターの書いた本が、
一時期ベストセラーになりましたが、
私がジャズに入門したキッカケは、まさに見栄でした。

私が「よし!ジャズを聴くぞ!」と決意したのは、
ファッション誌に書いてある一行の文章でした。

予備校生だった時分、JICC出版局(現・宝島社)から、
『P-Style』という
男性向けファッション誌が出ていたのです(現在は廃刊)。

特集のテーマが
「女の子がバレンタインに彼氏に贈る洋服」だったので、
たしか2月号でした。

彼氏が普段聴いている音楽のジャンルごとに、
音楽のテイストに合わせた服のコーディネイトを紹介する特集です。

たとえば「クラシック」だと、
シックなスーツと上質の布を用いた傘の組みあわせ。

「ブリティッシュロック」だったら、
派手めの上着に英国旗の柄をあしらったカバンと帽子なんかが
紹介されていましたね。

その中で、パッと見、私の好みだった服装のコーディネイトが
「ジャズ」だったのです。
ブランドは忘れましたが、
シックな黒のスーツに白のYシャツとサングラス、
たしかそんな組み合わせでした。

写真の下には、このコーディネイト一式を送る女の子の
メッセージ風のキャプション。
その文章がそそりました。

「“ロックは卒業したさ”。
と、カウンターで煙草をくゆらせている意地悪で優しいあなたへ。」
というような文章だったんですね。

「ロックは卒業したさ」
というフレーズが妙にオトナに感じられた(笑)。
また、
「カウンターで煙草」、「意地悪で優しい」
というフレーズも、
何となくハードボイルドチックで、
「早く大人になりたい症候群」だった当時の私にとっては
刺激的な一文だったんですね(笑)。

当時の私は、片岡義男や北方謙三のハードボイルドにハマっていて、
どうやら、キザでカッコいい男になるには、
ジャズは欠かせない要素なのだなと薄々とは感じてはいましたが、
このファッション誌のキャプションに背中を押されるように、
「よーし、ジャズを聴くぞ!」と決意をしました…。
すごく単純です(笑)。

(つづく)

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『辛口!JAZZノート』
寺島 靖国

「ジャズは見栄で聴け」が主張されていた
『辛口ジャズノート』。
現在は文庫版しか出ていないが、
発売当時の単行本は、
ベーシストをあしらった硬派な装丁が魅力でした。
書籍版は現在品切れのようです。
書籍版の“あの装丁”じゃないと、この本の魅力も半減…と感じているのは、私だけでしょうか…。


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2005年10月12日(水)

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