第24回
ダテから入って、ツウになった!?
(私がジャズを聴き始めたキッカケ・その2)
ファッション誌を読んで、
「ジャズを聴くぞ!」と奮い立った単純な私。
翌日、兄がジャズマニアだという予備校の友人に
おススメのアルバムを尋ねました。
翌日彼が持ってきてくれたテープが、
ビル・エヴァンスの『ポートレイト・イン・ジャズ』でした。
早速聴いてみると、
まさに私の思い描いていた「オトナ」の世界でした。
当時はまだベースは弾いていなかったので、
ベースの知識はありませんでしたが、
最初に「ピン!」ときたのは、ベースの音でした。
昔から、ミック・カーンや、パーシー・ジョーンズといった
ニューウェーヴ系の
“動くエキセントリックなベースプレイ”が好きだったので、
『ポートレイト・イン・ジャズ』の
「よく動くベース」に反応したのだと思います。
ジャズって難しい音楽っていうイメージがあったけれど、
本当にこのベースは動きまくって難しそうだなぁ、さすがジャズだ、
と興味が湧いてきました。
もっとも「動くベース」が即、難しいというわけではないことは、
ベースを弾いているうちに分かってきたのですが、
当時の私としては「動くベース」=「難しい」だったのです。
このアルバムのベーシストはスコット・ラ・ファロで、
当時としては革新的なベース奏法だったことは、
随分後になって知りましたが、
そのようなことは知る由もなく、
「ジャズ」って面白いな、夢中になりそうだぞ、
と胸をワクワクさせました。
このCDを購入しようと、タワーレコードのジャズコーナーで
ビル・エヴァンスのコーナーをチェックすると、
ジャケットがまた素晴らしい。
大学教授を彷佛させる
知的なエヴァンスの風貌に痺れてしまいました。
うーん、イイ雰囲気だ。
これがジャズってやつかぁ…、
などと一人で悦にいたりながら、レジに足を運んだ私。
以来、このエヴァンスを機に徐々にジャズの楽しさに目覚め、
ジャズ喫茶でバイトしたり、
大学ではジャズ研に入り、ジャズベースを習ったりと、
確実にジャズ中心生活に移行してゆき…
現在に至っております。
まさに、「ダテから入って、ツウ」への道をまい進中です。
皆さんも、臆することなく、
見栄やダテからジャズを聴いてください。
分からないなりにも、どこか「おや?」となったところを中心に
自分の興味の触手を伸ばしていってください。
気がつくと、
いつのまにか「ツウ」の仲間入りをしているかもしれませんよ。
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『Portrait
in Jazz』
Bill Evans |
1.Come Rain Or Come Shine
2.Autumn Leaves
3.Autumn Leaves (Mono)
4.Witchcraft
5.When I Fall In Love
6.Peri's Scope
7.What Is This Thing Called Love
8.Spring Is Here
9.Someday My Prince Will Come
10.Blue In Green (take 3)
11.Blue In Green (take 2)
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私が自腹で最初に購入した記念すべきアルバム。
スコット・ラファロのピアノにどんどん絡んでくるベースのプレイが非常にスリリングです。
知的な演奏も、ジャケットのイメージそのものです。 |