やがて本気で好きになります

第26回
ブルーノートのジャケット

まずは、このページを下までグリッとスクロールをして、
掲載されているいくつかのジャケットをご覧になってください。

共通点があるでしょ?

人の顔が大胆にトリミングされているものばかり。
いわゆる「おでこチョッキン」なジャケットばかりです。

もうひとつ共通点があります。
これらはみなブルーノートというレーベルの
アルバムジャケットなのです。

ブルーノートはジャズを代表する名高いレーベルですが、
音のみならず、
ビジュアル面のコダワリも強いレーベルだったのですね。

ジャズマンのポートレイトを大胆にもバサッ!
と切り落とすことによって生まれる迫力。
まるで、
重厚なサウンドがこちらに伝わってくるように感じませんか?

このジャケットのデザインを手がけた人は、
リード・マイルスというデザイナー。
ブルーノートのブレインの一人です。

面白いことに、彼はジャズ好きではありませんでした。
クラシック好きだったのです。
だから、自分がデザインしたレコードの見本があがってくると、
すぐにそれを中古レコード屋に売ってしまい、
売ったお金でクラシックのレコードを買っていたそうです。

だからなんでしょうかね、
ジャズへの思い入れが少ないだけに、
平気でジャズマンの顔をチョッキン!と
大胆にトリミングできてしまうのかもしれないですね。

おまけにソニー・ロリンズの
『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』にいたっては、
写真が逆判(元の写真と左右が逆)です。

しかし、そんなことお構いなし。
ジャズの “ ムード”をジャケットに封じ込められればそれで良い。
きっと彼はそう考えていたに違いありません。

ジャズにどっぷりつかっている人よりも、
客観的にジャズを外側から見る視線をもっていたからこそ、
このような思い切ったことが出来るのかもしれません。

ブルーノートは様々な切り口で語れる奥の深いレーベルですし、
いずれブルーノートにまつわるお話もさせていただく予定ですが、
ジャケットひとつとっても、
面白いエピソードに事欠かないレーベルです。

是非、みなさんのお手元にブルーノートのアルバムがあれば、
じっくりとご覧になってください。

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『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』
ソニー・ロリンズ

1.オールド・デヴィル・ムーン
2.朝日のようにさわやかに
3.ストライヴァーズ・ロウ
4.ソニームーン・フォー・トゥー
5.チュニジアの夜
6.言い出しかねて


大迫力のロリンズの顔のどアップ。内容もジャケットに負けず劣らず大迫力の力演!


『フュエゴ』
ドナルド・バード

1.フュエゴ
2.バップ・ア・ループ
3.ファンキー・ママ
4.ロウ・ライフ
5.ラメント
6.エイメン


ゴスペルの雰囲気も濃厚に漂わせた、ドナルド・バードの熱い一枚。


『フライト・トゥ・ジョーダン』
デューク・ジョーダン

1.フライト・トゥ・ジョーダン
2.スターブライト
3.スクォーキン
4.ディーコン・ジョー
5.スプリット・キック
6.シ・ジョヤ


ジャケットとおり、骨太なサウンドと、ジョーダンのナイーブな面がバランスよく共存した名盤。


『True Blue』
Tina Brooks

1.Good Old Soul
2.Up Tight's Creek
3.Theme for Doris
4.True Blue
5.Miss Hazel
6.Nothing Ever Changes My Love for You
7.True Blue [Alternate Take]
8.Good Old Soul [Alternate Take]


様々な青があるけれども、本当の青はオレ様さ。中央に堂々と居座るティナ・ブルックス。
彼の力強い代表作。


『カーティス・フラー Vol.3』
カーティス・フラー

1.リトル・メッセンジャー
2.クァントレイル
3.ジニー
4.カーヴォン
5.トゥー・クォーターズ・オブ・ア・スマイル
6.トゥー・レイト・ナウ


まろやか、コクのあるトロンボーンサウンド。
なーんて、私が解説しなくても、ジャケットが雄弁に語っていますね。


『Cool Struttin』
Sonny Clark

1.Cool Struttin'
2.Blue Minor
3.Sippin' at Bells
4.Deep Night


“顔チョッキン”ではなく、“脚チョッキン”で目を惹くジャケット。

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2005年10月19日(水)

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