やがて本気で好きになります

第27回
パリを感じるジャケット2枚

ジャズの街といえば、まずはニューヨークが思い浮かびますが、
じつは、パリもジャズの都です。

ジャズをきちんと芸術として鑑賞してくれ、
人種差別どころか芸術家として扱ってくれるジャズマンにとって
安息の都、パリ。

特にロックの台頭で、
本国で食い詰めたジャズマンが辿り着いた街でもあります。

だから、パリで録音されたジャズは数多いのです。

いま、私の手元には2枚のパリで録音されたアルバムがあります。

1枚はフレディ・レッド(p)の『アンダー・パリ・スカイ』。
もう1枚はデクスター・ゴードン(ts)の
『アワ・マン・イン・パリ』です。

どちらも濃厚にパリを感じさせるジャケットです。

フレディ・レッドのジャケットは、
彼の背後にエッフェル塔がぼんやりと映っているので、
いかにもパリですね。
なんだか、弱りきった顔でカバンをかついでいるレッドは、
パリで迷子になってしまったのでしょうか?

演奏のほうも、なんだかジャケットのレッドの顔が象徴するように、
センチメンタルです。

もう1枚のデクスターのアルバム。

煙草を指に挟んだ男の迫力ある横顔。
自信に満ちた目と、
ジャケット一杯に彼の横顔がめいっぱいレイアウトされている
力強いジャケットですが、演奏内容も力強い。
アルバムのサウンドをこのジャケットが雄弁に物語っています。

でも、これのどこがパリだって?
と感じる方もいらっしゃるでことしょう。

タイトルの文字に注目してみてください。
赤・青のトリコロールになってますよね?

フランス国旗の色です。
たったそれだけでも、濃厚にフランスを感じさせませんか?
指の形にそって文字が踊るようにレイアウトされている点にも
洒落っ気を感じますね。

このアルバムも先日紹介したブルーノートのアルバムです。
ブルーノート流のセンスはこんなところにも生きているのですね。

内容はお墨つき。
ピアノがバド・パウエルという豪華な布陣で、
力強い演奏を楽しめます。

力強い、男性的なテナーサックスを味わいたい方には
強くおススメしたいアルバムの1枚です。

センチメンタルなパリでの演奏と、力強いパリでの演奏。
タイプは違えど、
どちらも濃厚にパリを感じさせるジャケットと音楽なのです。

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『Under Paris Skies』
フレディ・レッド

 


パリの空の下で、メランコリックなピアノを奏でる、フレディ・レッドの隠れ名盤。


『アワ・マン・イン・パリ』
デクスター・ゴードン

1.スクラップル・フロム・ジ・アップル
2.ウィロー・ウィープ・フォー・ミー
3.ブロードウェイ
4.星へのきざはし
5.チュニジアの夜


デクスター・ゴードン快心の一作。
男一匹、テナー侍です。

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2005年10月21日(金)

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