やがて本気で好きになります

第30
シングルトーンとブロックコード

前回紹介したレッド・ガーランド(p)には
2つの大きな持ち味があります。

真珠がコロコロと転がるようなシングルトーン。
そして、すぐに彼だと分かるほど特徴的で、
美しい響きのブロックコード。

シングルトーンは、読んで字の如く「単音」のことです。
1つ1つの音で形成される旋律です。

ブロックコードとは、要するに「和音」のことです。

なぜ、いちいち「シングル」とか「ブロック」とかといった
言い方をするのでしょうか?

サックスのような管楽器は一度に一音しか出せないし、
ベースも一度に出す音は基本的には一音なので、
これらの楽器にはわざわざシングルトーンという言い方はしません。

一方、ピアノやギターはどうでしょう?

ピアノは、単音でメロディを弾くことも出来る一方で、
押さえた鍵盤の数だけ音を出すことが出来ます。
同様に、ギターも弦の数の6つまでだったら同時に音が出せるし、
ピアノと同様、単音でメロディを弾くことも可能です。

単音でもOK。和音でもOK。
この選択肢の多さゆえに、
楽器奏者のアプローチも多種多様になってくるわけで、
だからこそ、「シングルトーン」「ブロックコード」
という分類があるのでしょうね。

ピアノという楽器は、
誰が弾いても同じ音が出るように思われがちですが、
たとえ同じピアノでも、弾く人が交代すると音色が変わります。

太い音にも、か細い音にもなるし、
歯切れの良いブライトな音色にもなります。

ピアニストの指の大きさやタッチの強弱の差もあるし、
指を離すタイミングにも左右されるのかもしれませんが、
ピアノという楽器は我々の想像以上に音色に幅のある楽器なのです。

さて、ガーランドのピアノですが、
これがまた非常に特徴のある音色なのです。
コロコロした丸い音、とでも言うべきか。
この音色は、好きになると病みつきになります。

前回引き合いに出した
『ア・ガーランド・オブ・レッド』の
1曲目と2曲目を聴いてみてください。

《ア・フォギー・デイ》のテーマはシングルトーン、
次曲の《マイ・ロマンス》のテーマは
ブロックコードを用いているので、
この2曲で彼のスタイルの特徴がはっきりと分かるはずです。

「彼のシングルトーンの音色は…」
なんて、ウンチクを傾けられるようになれば、
ダテからツウへと立派に移行している証拠です。

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『オール・カインズ・オブ・ウェザー』
レッド・ガーランド

1.レイン
2.サマータイム
3.ストーミー・ウェザー
4.スプリング・ウィル・ビー・ア・リトル・レイト・
  ジス・イヤー
5.ウインター・ワンダーランド
6.ティス・オータム


季節や天候にまつわる曲ばかりを集めた、ガーランドの楽しい1枚。
ブロックコードの響きを楽しむ1枚。

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2005年10月28日(金)

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