やがて本気で好きになります

第33回
個性のカタマリのようなピアニスト

前回は、優れたジャズマンほど、
ユニークな個性を持っているお話をしました。

今回紹介するジャズマンは、
個性のカタマリとも言うべきピアニストです。

セロニアス・モンク。
以前紹介した《ラウンド・ミッドナイト》の作曲者でもあります。

彼のピアノは非常に独特です。
不協和音のような和音を連発するし、
アドリブも訥々としたプレイが多く少なくとも流暢ではありません。
タイミングもどこかヘンで、
「なんでこんなところに、こんな音が来るわけ?」
と感じることも多いです。

ちょっと大袈裟ですが、ピアノを習いたての幼児が、
ピアノを無心にいじっているような感じもします。

とにかく、聴いていると
こちらの耳に妙な引っかかりや異物感のようなものを感じる。

一方、彼は多くの曲を作曲しています。
代表曲《ラウンド・ミッドナイト》もそうですが、
彼の作った曲は美しいメロディのものが多いし、
童謡のように単純素朴なメロディのものが多い。

しかし、単純なメロディなはずなのに、
そこには奇妙な不協和音がかぶせられたり、
タイミングが妙にズレていたりと、
彼の演奏はなかなか一筋縄でいかないのですね。

だから、流暢なオスカー・ピーターソンや、
ハーモニーの美しい
ビル・エヴァンスのピアノに聴きなれた耳を基準に聴くと、
「なんじゃこりゃ?」になりがちなのです。

しかし、この「なんじゃこりゃ?」と感じてしまうことこそが、
モンクのピアノが強烈な個性を持っている証でもあり、
聴き手に「?!」と注意を促す
モンクならではの世界なのです。

そして、この「妙な感じ」に耳がなれてしまうと、
たまらない快感に変わってくるから不思議です。

かくいう私自身、モンクのピアノに魅せられた一人で、
彼が参加しているアルバムはほとんど集めているほどの
モンク・フリークでもあります。

では、そんなモンクのどこがイイのか?
彼の魅力は次回、解説したいと思います。

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『セロニアス・モンク・トリオ』
セロニアス・モンク

1.リトル・ルーティ・トゥーティ
2.スウィート・アンド・ラヴリー
3.パイヤ
4.モンクス・ドリーム
5.トリンクル・ティンクル
6.ジーズ・フーリッシュ・シングス
7.ブルー・モンク
8.ジャスト・ア・ジゴロ
9.ベムシャ・スウィング
10.リフレクションズ


彼のピアノのユニークさを知るには、まずはコレが一番。
聴きやすい上に、きっちりと過激にユニークです。

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2005年11月4日(金)

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