やがて本気で好きになります

第39回
ロリンズの素晴らしさを堪能できる1枚

私が愛聴しているソニー・ロリンズのアルバムを紹介しましょう。

『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』。

ニューヨークの名門ジャズクラブ
「ヴィレッジ・ヴァンガード」で繰り広げられた
熱い演奏を収めたアルバムです。

現在発売されている日本盤では、1枚にまとめられていますが、
私がジャズに入門したての頃は、別テイクを含め、
2枚のCDに分けて収録されていました。

とにかく、このアルバムは聴いた、聴いた。
なぜ、聴きまくったのかというと、
恥ずかしながらこのアルバムの演奏が、
まったく理解出来なかったからです。

ロリンズの伴奏は、ベースとドラムのみ。
管楽器とベース、ドラムのフォーマット(編成)は、
ピアノがいないトリオなので、
「ピアノレス・トリオ」と言いますが、
当時の私は、このフォーマットに馴染めなかったのです。

ピアノやギターなど、
和音が出せる楽器が伴奏にいれば、聴きやすかったのでしょうが、
リズムに低音のみという必要最低限なシンプルな伴奏ゆえ、
なかなか曲の輪郭が掴めなかったのです。

だから、ライブの熱気は伝わってくるのですが、
肝心の演奏はなにがなんだか、さっぱり分からなかったのですね。

しかし、周囲はこのアルバムを名盤、名盤と賞賛している。
分からないのは自分だけ? 悔しい!

ということで、このCDをテープに録音し、
ウォークマンを片手に、何度も何度も聞き返す毎日でした。

それでも、あまり実感としての凄さが分からない。
あきらめてしばらくは聴くのを止めてしまいました。

その間、様々なジャズを聴き、
このアルバムを久々に聴き返してみると…、
いいじゃないですか!

パワフルなドラムに、骨太のベース、
溢れんばかりの歌心を発揮するロリンズの豪快なブロウが
体内に入ってきたのです。
なんで、
こんなに素晴らしい演奏が今まで理解できなかったのだろう? 
と不思議に思いましたが、
結局“ジャズ耳”が鍛えられていなかったのでしょう。

以来、私はことあるごとにこのアルバムを楽しんでいます。
特にパワフルな《チュニジアの夜》と、
眠たげな《朝日のようにさわやかに》が大のお気に入り。

いまでも、大音量で音を流すジャズ喫茶に行くと、
このアルバムをリクエストして、
迫力ある音を浴びることにしています。

そう、このアルバムは大音量であればあるほど良いのです。
ウォークマンで聴くぐらいじゃ、
なかなか迫力が伝わらなかったのかもしれません。

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『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』
ソニー・ロリンズ

1.オールド・デヴィル・ムーン
2.朝日のようにさわやかに
3.ストライヴァーズ・ロウ
4.ソニームーン・フォー・トゥー
5.チュニジアの夜
6.言い出しかねて


ジャケットのインパクト通り、迫力溢れる演奏。
とめどもなく流れるメロディ、メロディ。迫力の骨太リズム!

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2005年11月18日(金)

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